傷の治りに鍼灸を

  • 2018.06.14 Thursday
  • 00:40

週に一度、脳血管障害後遺症のケアで出張鍼灸施術に伺っているY様。

なぜかこの日はお体の触診をしている時から上肢の小指側が氣になっていました。

 

お体の反応を見ながら、麻痺側の上肢の動き改善の鍼灸施術を行っていましたら、

Y様より、そういえば5日ほど前に転倒しそうになり体を支えようとして麻痺側である左側の肘を壁ですりむいてしまったとのこと。2、3日してからズキズキと痛みが出てきたとのこと。

拝見すると擦りむいた皮膚の周囲が少し熱を帯びて腫れていました。

 

まずは擦過傷周囲の腫れのある箇所に台座灸。

そのあと、写真のように擦過傷を囲むように刺鍼。

 

しばらく置鍼し抜鍼したら、自覚的に痛みが軽くなり、他覚的には腫れと赤みが引いていました。

 

ご自身で自宅施灸を傷の周囲に継続してくださり、2日後にすっかり痛みは消滅しました、と患部の画像を送ってきてくださいました。

 

以前、研修を受けていた病院で、床ずれのため皮膚に大きな穴があき内部が見えている方への鍼施術のお手伝いをさせていただいたことがありました。1週間ほど毎日刺鍼を継続しただけで傷が目に見えてふさがっていきました。

この技法は、囲刺という傷跡の治癒を助ける方法です。

手術痕への施灸で、引き攣れ感が寛解した症例もあります。
外傷や古傷の違和感に鍼灸を併用することで、治癒が促進されて楽になってきます。
経絡の概念は入っていない対症療法的な施術です。
鍼による物理的な侵害刺激と灸による温熱刺激により、血流を促し傷の修復作業をする白血球の成分を患部に集約させる、という治効機序に基づくものです。

 

 

 

 

薬草料理マイスター講座修了〜野の薬草を通じて見る感じるいのち

  • 2018.03.11 Sunday
  • 21:03

三月十一日。

七年前、東日本大震災がありました。

 

そして、

今日は1年間通った「薬草料理マイスター養成講座」の修了日で薬草料理実習日でした。

仕上がった薬草料理を囲み、講師の矢野忠則先生が東日本大震災の被害に遭われた方々への黙祷を捧げられました。

たくさんの方々がこの日を契機に生き方の模索を始められました。

講師の矢野忠則先生もそのお一人。

矢野先生が大分で薬草料理の研究と実践を始められたきっかけは、救援物資が届かない地域の方々が野草を調達して食をつないでおられたことをお知りになったことなのだそうです。

 

野の薬草を知り薬草を食して生きる。

七年前に始まった矢野先生の活動を通じて大分で数多くの薬草料理マイスターの方々が輩出され、

昨年より始まった福岡での薬草料理マイスターの養成講座には14名のお仲間が集まりました。

薬学博士の矢野先生講義による、科学的な野の薬草への学び。

葉や花の形など形体上の分類から野草を見分ける方法、根、葉、花から種へと生命活動をする植物の生理学、身近な野草の薬効と性質、生態などの座学の合間に、3回の薬草料理実習がありました。

 

矢野先生の国東半島や、主催の坂井さんの大牟田のハーブガーデンから手摘みされた野草などを使ったレシピ。

毎回食べ切れない品数の美味しい薬草料理がテーブルに並びました。

共に学ぶ受講生の皆様、料理のプロの方もいらして、毎回みなさまのアイディアからたくさん学ぶことがありました。

 

県北にある宗像ではまだ土筆や筍の姿は見られないのですが、唐津、糸島、大牟田と暖かい地域からのご参加者から、

筍と土筆が集まりました!初物は柔らかいですね!!

 

矢野先生がおっしゃった例えが印象的でした。

 

薬膳料理は、型のある七言絶句などのような定型詩。

野草料理は、自由律の詩。

 

昨年の4月から今日まで1年間。季節の移ろいを野草からみるという経験をして、

今まで「草」でしかなかった野の草花が本当に生き生きと力強い個性を持って目に入ってきました。

そして食べられる野草をいただくことで、少量でも大いなる生命力をいただくことができることを体感しました。

矢野先生、坂井さんありがとうございました。

そしてまだまだ学びは続きます。今後とも宜しくお願い致します。

 

野の草のように、生命に満ちて。

 

東日本大震災の後、避難生活を送られている方々の暮らしに心安らぐ時のありますように。

森を食べている〜ジビエ料理講習会に参加してきました!

  • 2018.03.09 Friday
  • 12:19

昨日3/8は往療の時間を都合していただき、博多で開催されたジビエの講習会

「ふくおかジビエ料理講習会〜ジビエをあつかう・あじわう」に参加してきました!

福岡ジビエフェア

中洲のジビエ料理店「情熱の千鳥足CARNE」の小野料理長による、福岡・添田町で獲れた鹿肉を使った4品の料理の実演試食会。

 

温和堂の暮らす宗像・大穂の集落はちょっとした中山間地域にあるため、

猪、鹿、野兎、穴熊などの野生動物に作物を食べられてしまうことがあります。

 

福岡の獣害資料

 

講習会で配られた資料で、捕獲された野生鳥獣のうち食用として加工されるのは、わずか5%で残りは自家消費以外は廃棄されていると知りました。

もったいないことです。(大地に返されるので山の生き物たちの糧として循環されるとは思いますが。)

 

福岡県内には9箇所の許可を受けた食肉処理施設があり、うち公設の加工場は4箇所(糸島市、添田町、みやこ町、そして地元宗像市)。道の駅むなかた、県内8箇所のマックスバリュでジビエ肉が販売されているそうです。

 

この冬は集落の箱罠にかかったイノシシを2度見学に行き、宗像の加工場で捌いていただいた猪肉を調理してありがたく頂戴しました。

猪肉というと、臭い、固い、とよく聞くのですが、実際に食してみると歯ごたえはあるものの柔らかく、匂いは全く気にならず、かなり滋味深く、パワーをいただきました。

手探りで捌いてみたのですが、適切な調理法があればさらに美味しくいただけると思っておりました。

そんなとき渡りに船のようにこの講習会があることをお知らせいただきました。

 

講師の小野シェフによると、この時期はのイノシシはもうオス猪にサカりがついてしまい匂いが出ているため、鹿肉を食材として用意しました、とのこと。

メニューは、4品。

鹿料理4品

鹿肉のラグーソースパスタ、鹿肉のソーセージ、鹿肉のグリル、鹿肉のそぼろ。

 

 

小野料理長

野生鳥獣肉は、しっかりと殺菌する必要があります。

今回の会場は、プロ厨房用冷蔵庫で有名なペンギンロゴのHoshizakiさんのテストキッチン。

こちらには、最新のプロ用厨房機器が揃っています。

Hoshizakiさんの電解水生成装置の食品殺菌用水で洗浄された鹿肉のブロックは、55℃の温水に10分保温浸漬されてさらなる殺菌処理をされました。

48℃から56℃の温水の中では無菌状態となるそうで、かつ肉も柔らかさを保つことができるそうです。

この処理の後、ブロック肉は、丁寧に筋膜を剥がされ、粗塩とミル挽きの胡椒の塩胡椒とたっぶりのオリーブオイルに浸かり真空パックされます。

次の真空低温調理には、専用の機器コンベクションが必要です。

会場にはHoshizakiさんの立派な真空パック機器と全自動のコンベクションオーブンが備えられていました。

56℃で30分、低温でかたまり肉の中心までじっくりと。真空になっているので低い沸点で加熱されるのだそうです。

(富士山の山頂では、80℃で沸騰する)

 

コンベクションがない場合は、真空にしてから56℃から58℃の湯煎でも良い、とのこと。

炊飯器の60℃保温機能を使っての真空パック湯煎も良いそうです。

 

鹿肉グリル中

30分の真空低温調理が終わった塊肉は、たっぷりのオリーブオイルで丁寧にフライパンでグリルされます。

この時のコツは、じっくり焼き色がつくまで待つこと。あまり頻繁に動かして、肉を”イラっとさせないように”と。

 

小野シェフの所作はとても流麗で、4品50名分の調理をされているのにとてもリラックスされていました。

調理の真髄の一つを見させていただいたようです。丁寧に優美に。テンパらない。

実演をされながら、おっしゃっていたのは、道具は良いもの(専用のもの)を揃えてください、と。

例えばゴムべら。

専用のものは、3通りほどの使い分けができ、置いた時にもソースが調理台につかないような工夫がされているそうです。

 

ラグーソースの実演でも、プロのコツを惜しげなく披露してくださいました。

粗挽き鹿肉をマリネする赤ワインに、酵素の多い果物(すもも、マンゴー、梅、イチヂク、玉ねぎなど)を加えるとさらにお肉が柔らかく熟成されるそうです。そしてマリネ液をソースに加える前に鍋で沸かしてアクを抜いておく、というちょっとした手間で味が良くなるそうです。

鹿肉は、牛肉よりも加熱で固くなり易い性質があるため、ソテーされた野菜をクッションにしてじっくりと火を入れていくと野菜の風味も加わりより美味しく仕上がるそうです。

もう1点。きのこは水が出易い食材なので、いきなり強火ではなくやんわり低めの温度から炒めると歯ごたえが残るそうです。

 

鹿と雉のフォン

ソースに入れるためあらかじめ用意されていた、鹿と雉の出汁も試飲させていただきました。

どちらも骨つき肉に塩だけを加えて煮出したシンプルなブイヨン。

雉出汁の後に鹿出汁を飲みましたら鹿のお出汁からは、ブワーッと森の風味が口いっぱいに広がりました。

なるほど鹿は森を食べているのですね〜!!

 

晩春から初夏に獲れた鹿肉で出汁をとると、新芽を食べているのでまた香りが違うのだそうです。

今回いただいた鹿肉は、冬越え鹿なので樹の皮なども食べているのでしょうか。少しウッディな感じなのでしょうか・

春の鹿出汁もいただいてみたいものです。

 

福岡市内、北九州市内など、ジビエフェアに参加されている飲食店も意外にたくさんあるのでぜひジビエ料理に舌鼓を打ってみてください!

 

福岡ジビエフェア

https://fukuoka-gibier.com

 

情熱の千鳥足CARNE

http://www.idea-p.co.jp/carne/

有難きこと 椎茸と海藻と循環

  • 2018.02.28 Wednesday
  • 17:56

一昨年の夏、大穂の里山に移住してきた頃から温めていたいくつかあるやりたいことリストのうち2つが、今日素晴らしい巡り合わせで実現しました!!

 

一つは、ホダ木場にホダ木と椎茸を戻し、ホダ木(とイノシシの餌にもなる、カブトムシも呼べる)どんぐりのなる木々を育てること。

もう一つは、みかんの果樹園に、玄海灘の浜に上がった海藻をミネラル補給材として撒くこと。

 

今朝、集落の農家さんのお力添えで、ホダ木の設置は叶いました。

 

ホダ木場

あとは2梅雨待つことと、次のホダ木となる堅木を里山に植え育てていく。

 

もう一つの玄海灘の浜の海藻。

昨日訪れた宮地浜。海岸にはたくさんのホンダワラが打ち上げられていました。こっそり持ち帰ろうとしていたら、Hさんにばったり会いました。Hさんは宮地浜でビーチクリーンをされていて、浜の海藻は捨ててしまうから持って帰って良いとビーチクリーンの棟梁のような方が言っていた、と耳寄り情報をいただきました。そこで堂々とビニール1袋分くらいを意気揚々と持ち帰ったのでした。

そうしたら、今日椎茸作業が終わった後にHさんより連絡がありました!!

宮地浜に海藻が打ち上げられるのは2月の終わりころまでで、今日集まっている海藻は全てほかしてしまう、と!!

 

なんとHさん、既に浜の海藻を全て車に積んでくださっていて、大穂まで運んでくださると!!!

海藻で満載の軽ワゴンで駆け付けて下さいました!!

海藻満載サンバー号

お言葉に甘えて、Hさんにお手伝いいただき、私のワゴンに積み直し、

さらにみかん畑まで海藻を運び込むという作業までご一緒していただきました。

雨が降ってきたので、今日はとりあえず山に置き、後日みかんの根元に撒いていきます!!

ホンダワラ、みかんを滋養す

海藻のミネラルで柑橘が元気になるそうです!

 

椎茸も、海藻も全て全て、たくさんの方の本当に暖かいお心だてによって実現している。

本当に有難きことです。

深謝です。

 

人も想いも暮らしもみな、循環していきている。

循環する暮らし 半鍼半里山

  • 2018.02.02 Friday
  • 21:43

温和堂が福岡県宗像市に移り住んでから約1年半が過ぎようとしております。

現在温和堂は、出張鍼施術の他に里山保全活動もという、半鍼半里山暮らしをしています。
様々なご縁からその様子が、3月号の宝島社『田舎暮らしの本』に掲載されることになりました。
取材に来られたライターさんにとても分かりやすくまとめていただきました!
『田舎暮らしの本2018年3月号』『田舎暮らしの本』 2018年3月号〜北部九州で菜園生活〜
本日発売です。
どうぞ書店よりお買い求めください!

 

 


移住した住まいは、里山付きのシェアハウス。
福岡市内から車でも1時間弱で来られる「近田舎」の宗像市。
中山間地の田園地帯と都市部をつなぐ新しい試みに取り組んでいる「むなかたシェアハウス」の住民になったきっかけは、里山でした。
里山
周囲を木々で囲われた7200坪のすり鉢状の地形。用地の中心にある棚田は山の滲み水と雨水だけで潅水される天水棚田。
そこには、山主さんの先代、先先代からの工夫と知恵によって保たれているひとの営みと豊かな生態系という山の生物の営みが見事に調和している素晴らしい里山環境があります。

 

 

 

水路のある平野部の田畑とは異なり、中山間部にあるこちらの里山の水の調節は、暗渠や明渠という溝で行われます。

 

鉄分が多く粘土質のこちらの里山は、水をしっかりと貯めて漏らしにくいという水田に最適の土壌です。
反面、その粘性から泥濘み易く水はけが弱い、という側面もあります。
里山の水の流れを、鍬でお手入れしながら「ああ、これはひとの体と同じだな。」と実感します。
溝に溜まる粘土は時折掻き出して水の流れを作っておかないと、おりが溜まりガスが発生する。
血液の流れも同じです。
多様な生物で溢れる里山環境。そこで営まれるひとの暮らし。
大自然と人の間にある緩衝帯としての里山。互いに生かし生かされつつ、恵みを分けていただく。
里山はまた、平野部の田畑を潤す伏流水の水源地でもあります。そしてその流れは海へと流れ着く。
全てが連関しながら循環される生きる営み。
そんな生きることの基本を体感できる場が里山です。
日々のお山のお手入れの他に、山主さんとお仲間の皆様と毎月里山活動の定例会「フォレスト・ガーデン・プロジェクト」も開催しています。

 

実生柚子で耐寒仕様のからだに!

  • 2017.12.05 Tuesday
  • 11:30

実生柚子

晩秋から初冬の養生果実といえば、柚子。

中国の長江(現・揚子江)上流が原産地の柚子は、日本でも奈良時代の「続日本紀」(797年)にその名が記されるほど馴染みのある果実。

 

冬至の柚子湯は、いよいよ厳しくなりゆく寒を暖で乗り切る暮らしの智慧。

柚子湯湯冷めしにくく芯からポカポカになります。

柚子の皮に含まれるリモネンという精油成分やヘスペリジンなどが血行を促進させるのだそうです。

翌朝、布団から出るのも苦ではなくなります!(温和堂の体験。個人差あり。)

 

宮崎県の北部にある山あいの西米良村(にしめらそん)から、実生柚子が届きました!!

西米良村の原風景を残す活動をされている地域おこし協力隊の小牟田さんからの直送です!

https://faavo.jp/miyazaki/project/2129

 

とっても品のある香りで箱を開けた途端に部屋中に柚子が満ちて、うっとり。

皮をむくとまたさらに香りが!

ぷりぷりの実に、たまらずそのままパクっ。柚子ならではの酸味と爽やかな甘み!

そして食べてしばらくすると、からだの中から柚子が香ってきて、またまたうっとり。

柚子果皮 たね

柚子

香り高い皮は、天日干しに。

実は贅沢に絞って少し塩を入れて柚子酢に。

絞ったあとの皮は、もちろん柚子湯に!

そして、種は焼酎に漬けて半年後に使う化粧水に。

 

そしてぷっくりした種を選んで種採りして育苗ポットに!

 

実生(みしょう)とは、つまり実から生った、ということ。

「桃栗3年、柿8年、柚子のばかめは18年」と謳われるように、種から育てた柚子は実をつけるまで18年かかるのだそうです。

大量の実の重みに耐えられるように根がしっかりと張るまで待つ、ということでしょうか。

 

実生柚子の樹は、国内に5000本ほどを残すのみとも言われ非常に希少となっているそうです。

いただいた実生柚子のたねを手元で育ててみたいと思います。

18年掛かるのでどうなるかはわかりませんが、実生柚子という日本に古くからある種(species)が、百年先の未来でも芳香を放っていてほしい。

たね一粒。小さな一歩としたいと思います。

 

流通している柑橘類の多くは、台となる別種の木に栽培種の枝をついで栽培する接木という技術により栽培されています。

接木という優れた叡智は、3000年ほど前の中国の文献に記載が残るほど古来より人類とともにあり、日本には仏教伝来と同時に伝わっているのだそう。

接木されたものは3〜5年で実をつけ始めるため流通作物としては適している栽培法です。

 

実生の柚子は、接木栽培柚子と比べ、ひときわ香りが高いと聞いておりました。

接木の柚子の多くは、根の強いからたちを台木とするため、からたちの要素もその実の中に併せ持つのだそうです。

今回初めて実生柚子を手にして香りを聞いて味をみて感じたのは、その高い芳香は完全に別物でした。

つまりこれが本来の柚子なのですね。そして、実生柚子の果汁は接木柚子果汁よりも長持ちするのだそうです。

実生柚子は果汁だけでなく、果樹そのものも長寿なのだそうです。なかには樹齢300年を越える古木もあるそうです。

 

黄色が美しい希少な実生柚子が生る西米良村のふるさとの原風景が、ジビエや鹿皮細工など新しい試みとともに若い世代の暮らしの場として引き継がれていきますように!

 

西米良村の柚子製品は村所驛物産センターにて。

http://www.inseason.jp.net/station/201312/

 

食材としての柚子:http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/yuzu3.htm

「からだは自然」〜養老孟司さんのお話

  • 2016.09.17 Saturday
  • 22:02

中秋の名月後の和暦葉月の満月は東京から鑑賞しました。

七月末に福岡県の宗像市へ転居してから約ひと月半ぶりの東京。
東京滞在中だけ期間限定オープンしている板橋・温和堂の治療室にて久方ぶりにみさせて頂くみなさまのお身体に、秋の気配が散見しています。秋のお彼岸を過ぎると朝晩は冷え込んできます。
夏の間発汗するために開いていた毛穴に、うっかり初秋の冷えが入り込まないための工夫を一つ。
少しでも冷やっと感じたら、「クビ」の名のつく体のパーツ(首元、手首、足首)を衣類などで覆ってみてください。

 

 

養老孟司先生
9/17は、養老孟司さんのご講演を聞きに行ってまいりました。直接伺いたいと長年望んでいた養老先生のお話。
穏やかな中に凛とした堂々たる佇まいのお姿、探究心に満ちたキラキラ輝く瞳、ゾウムシから解剖学、経済学に至る幅広く深いご見識、智の巨人でした。

 

虫の虫

この講演は、グレートジャーニーで知られる医師で探検家の関野吉晴教授(武蔵野美術大学)が主催されている地球永住計画のシリーズ講座の一つ。

養老孟司さん、明治神宮の環境調査をディレクションされた(株)環境指標生物の新里達也氏、主宰の関野吉晴さんのお三方によるシンポジウムのテーマは「都市緑地の重要性」。

とても示唆に富む内容でしたので、温和堂のメモに残っているものを備忘録として起こします。

 

シンポジウムに先立つ「虫から人間社会を考える」をテーマとした単独講演の中で、養老先生は脳化するひとについて述べられました。意識が捉えられることができる世界はわずかなもので、脳や意識で”違い”を認識することは難しい。犬や猫など絶対音感を持つ動物は解剖学的に、振動数をしっかりと捉えることができる構造を持つ。”違い”を認識するのは感覚であって意識ではない、と。

 

 

シンポジウム

「都市緑化の重要性」。このテーマ自体が、”緑があることを必要としている”という意識による概念なのでは?緑(自然)は意識や理屈のものではなく、それ以前のもので生命にとって必然のものなのだ、と養老先生。

 

脳は目の前の環境で起こっていることを実在として捉えてしまうものなので、スマホの画面だけを見ているとその世界がそのひとの実在となっていってしまう。お金というものも実際は抽象の存在でしかないのに、実在のものとして捉えられている。

最近姿を見ることが少なくなった蝿。五月蝿いと書いて、”うるさい”と訓むが、将来は”めずらしい”と訓むことになるかもしれない。虫が人間の行動により変化をさせられている現実。

都会には人工のものしか無くなり、自然を現実のものと捉えられない人が大多数となっている現在。

 

ここで一つの問いが養老先生より投げかけられました。「なぜ人は服を着るのでしょうか?」と。

養老先生曰く、からだは自然なので、自然であるからだを隠すために人は服を着るのだ、と。人間の中にある自然は都会の中で見せてはいけない、という意識がひとに服を着せ、サプリメントを摂らせ、「健康のためなら死んでも良い!」と言わしめる、と。

 

進行役の関野吉晴さんも人間も動物の一部である、パネリストの新里達也さんも自然は生命の生息地であるので自然を大切にしたいというのはもともとの本能なのだ、と。

 

春日大社から帰ってこられたばかりの養老先生は、春日大社の在り方に自然の中で生きづいていた昔のひとの自然観を見られました。春日大社の建物は山の傾斜に合わせて作ってあり、山や樹木を大事にしている造りとなっている、それが普通のこととしてそこにあり、奈良時代の古から営々と続いている。自然をひとに合わせるのではなく、ひとが自然に寄り添う。春日大社という存在そのものが体現している自然との生き方。

 

パネリストの新里達也さんが関われた明治神宮の環境調査。100年前に作られた人工林。100年の間に周囲の都市化が進む中、手付かずで残された明治神宮の森は自然の森へと成長を遂げました。都市化した大都市東京から住処を求めて集まってきた生命を受け容れてきた明治神宮。50年前の調査と比べると土壌生物の数は1/10に減少したのだそうです。この50年で東京はヒートアイランド現象により降雨が少なくなり、土中に染み込む水量が圧倒的に減少したこと、つまり乾燥が原因しているのだろう、ということです。一方、シダ、苔、キノコの数が倍増したそうで、これはカエルなど動き回る動物によって種子を拡散させる植物が減り、胞子によって増える植物が増えたことだろう、という。

また、ひところ見られなくなったカワセミが明治神宮で確認されると都内全域でカワセミの姿が見られるようになったそう。

これには、玉川上水など都内に流れ込む水系の環境浄化の影響が大きいだろう、と地球永住計画で実施されている玉川上水の観察会からも実感されている様子です。

 


 

海と山と里、多様な生物を育む生息地。この3つは全て川によって連環されている。養老先生は将来の自然環境保全の在り方として教育の現場で始動している取り組みをご紹介されました。京都大学の学際融合教育研究推進センターで始まっている、「森里海連環学教育ユニット」などが、環境省により今後小学校の教育現場に導入されていくことになっているのだそうです。

進行役の関野吉晴さんは、
都市緑化の重要性、これは個々の人たちが自分自身で住んでいる環境に自然が必要かどうかそれぞれ自分で考えて欲しい、と宿題を贈ってくださいました。
早速、会場で会うことができた友人たちと小平駅前の喫茶店(珈琲の香さん)で宿題を手に講座の振り返り会を開催。
満月の日限定の珈琲とお菓子を前に語らっていましたらシンポジストの方々が揃って来店されて,
私たちの振り返り会がさらに活気付きました。

Dare to be wild 〜映画『フラワーショウ!』〜ひとと自然の営みと

  • 2016.07.16 Saturday
  • 09:56

フラワーショウ!

〜We always knew man is nature. Nature, Man. One and the same. 〜

 

フラワーショウ!』原題『Dare to be wild』(監督Vivienne De Courcy、2015年製作、クロックワークス配信)はアイルランドのランドスケープ&ガーデンデザイナーのMary Reynolds(メアリー・レイノルズ)さんの実話に基づいて描かれた映画。

 

メアリー・レイノルズさんが、世界的に権威ある英国王立園芸協会主催のチェルシー・フラワーショウに初出展、最年少、そして野草を取り入れたガーデンデザインで2002年に金賞を受賞するまでの物語。

 

自然と調和したケルト文化が豊かに残るアイルランドの田舎で育ったメアリーは、都会の華やかな庭園デザインの世界の中に、ケルト文化の自然観を取り入れたデザインを吹き込みます。

駆け出しの庭園デザイナーのメアリーは、アシスタントを務めていた庭園デザイン事務所を突然クビとなったことで、単独チェルシー・フラワーショウへの出展を決意、金賞受賞を目指します。

 

アイルランドの手付かずの自然をそのまま庭園にデザインする。

そこを訪れるひとたちが自然本来の素朴な美しさを感じ、みる人のこころのなかに自然をつくりたい、メアリーの想いを実現するには、アイルランドの野草とサンザシの古木と石そしてそれら素材を扱う達人の助けが必要でした。

アイルランドの自然を用いた庭園づくりをしている職人達のいるFutureForestsにサポートを依頼。頭領と職人さんからの賛同は得たメアリーですが、キーパーソンである野草の専門知識をもつ植物学者のChristy Collard(クリスティ・コラード)の賛同だけ得られません。

砂漠化の進むエチオピアでの植林活動を優先してアイルランドを発ってしまったクリスティを追い、メアリーもエチオピアに。

これより先はどうぞ、映画本編にてお楽しみください。

 

クリスティが今でも取り組んでいるエチオピアの植林事業は、日本の非営利活動法人・フー太郎の森基金の支援によってなされています。映画のなかで名前が出てくる "Kaori"は、フー太郎の森基金理事長の新妻香織さんのこと。
国土の40%が森林に覆われていたエチオピアから森を奪ったのは、人口増加による農地転用や建材用の伐採、そして内戦。
1998年に相馬市で誕生したフー太郎の森基金は、11年で35万本の木をエチオピアのラリベラに植林しているそうです。
フー太郎の森基金は、また種を蒔き苗を育てて森を育てることの意味を地域の人たちにしっかりと伝えているそうです。

 

映画のなかで、メアリーは植林地の森を地域の人たちが集う場にすることを提案します。

 

日本の風土も、大自然との関わりのなかでコミュニティとひとが育まれてきました。

 

ひととコミュニティと自然。

 

『Dare to be wild』〜思い切って手付かずの自然に

小麦の匠とひと手間の妙

  • 2016.07.07 Thursday
  • 09:40

ロデ・ヴ・フリュイ

久方ぶりに再会した従兄弟が、札幌で円麦(マルムギ)さんというパン屋さんをしていて、前日に焼き上がったパンを札幌から手持ちしてくれました。

 

十勝産をはじめとした厳選の有機栽培の素材を上手につかったパン。

 

頂いたのは、パン・ド・ミ(食パン)とイチジクの入ったロデ・ヴ・フリュイ(フルーツの入ったパン)。

 

パン・ド・ミ、うっかり写真をとりそびれてしまいました。

香ばしくて小麦の味と香りがしっかりする皮と、仄かなバターの香りと仄かな塩味のあるしっとりとした中身。

あまり食べたことがない食感で、興味津々だったのでいとこに質問してみましたら、皮と中身それぞれの味を工夫して素材を選んで使っているとのこと。しかも、おどろきの十勝男爵が!

 

「パンドミは十勝のゆめちからとクラストをサクりとさせたいので、きたほなみと言ういずれも有機小麦を使ってます、加えて15%特別栽培の十勝産男爵を加えてしっとり感を出しています。ジャガイモのデンプンはパンの劣化を遅くしてモッチリとした日本人が好む食感になるので。」

 

そして写真の、ロデ・ヴ・フリュイ。

爽やかな酸味のイチジク、レモンかなにかで炊いたのかな?と質問してみましたら、想像以上の一手間が!

 

「中身は有機のヘーゼルナッツ、有機のクルミ、有機クランベリー、有機イチジク、有機ワイルドアプリコットを自然派ワインで煮込んで入れています。レモンでは煮込んでいないけど、ワイルドアプリコットが爽やかな酸味なのでアクセントで使ってます。小麦粉は十勝産の有機キタノカオリタイプ65をメインに使ってます。」

 

小麦の匠と一手間の妙!

 

パンの世界も奥深いですね!

この味に至るまでに数えきれない試行錯誤、研究を積まれてきたことがわかる、匠の味を感じました。

よい素材を厳選されているのもあると思います。

そして、素材を活かす職人さんってすごい。

 

円麦(マルムギ)さん、お店は、札幌は円山公園駅近く。

 

蔵を改築したかわいいお店。行ってみたいなぁ。

円麦(マルムギ)札幌市中央区南3条西26丁目2-24
営業時間. open 7:00 商品が無くなり次第終了. 定休日. 月曜日・火曜

青胡桃ノチノち愛でる山の幸 〜 夏至のお酒 nochino 仕込みました

  • 2016.06.24 Friday
  • 10:32

胡桃の木になる青胡桃6/24 今日は聖ジョバンニの日(La Festa di San Giovanni)なのだそうです。

そして、イタリア北部には、この ”聖ジョバンニの夜にもいだ青い胡桃” で漬けるお酒があるそうです。

 

温和堂は一昨日6/22のお昼間に、神奈川県・藤野の里山で育つ自然栽培の胡桃の木から掌一盛り分の青胡桃を手もぎしてきました。

 

パーマカルチャー実習コース同期のお仲間から、この青い未熟の胡桃を使ったイタリアの果実酒がある、と伺いまったく初めてのことですがトライしてみました。

 

イタリア北部、バルサミコの産地として知られるエミリア・ロマーニャ州に伝わる果実酒、nochino(ノチーノ)またはnochello(ノチェロ)。

胡桃はこの地域に古くより多く植生している植物だそうで、この土地ならではのお酒。

nochinoの起源は、紀元前5世紀ころから紀元前1世紀ローマ帝国によるガリア侵攻で西方に駆逐されるまでヨーロッパに先住していたケルト(ゲール)系の民の時代に遡るのだそう。(ヨーロッパ全域としては紀元前8世紀ころから。イタリア北部には紀元前5世紀ころからといわれる)

 

その名残は、冒頭の ”聖ジョバンニの夜にもいだ青い胡桃” にあるようです。聖ジョバンニの日は夏至の日に近接する日。

太陽の進行をもとにした古代ケルト暦のなかで一年で最も陽の力の強い日である夏至は、再生のお祭りの日。

ノチーノはパワフルな陽光を1日浴びた青い胡桃をその夜に摘んでつくるお酒。洗い、水分をとった胡桃胡桃の果実

 

古い言い伝えにはこのほかにもいくつか決まりごとがあるそうです。

未熟の青い実を、手練れの女性が裸足で木登りして手もぎすること。

聖ジョバンニの夜にもいだ実は朝露がおりるまで草に置いておくこと。

胡桃もぎに行く時には焚き火をすること。漬ける実の数はかならず奇数である必要があること。

作業に金属を用いてはならない。これは胡桃に多く含まれる油脂分が金気による傷で酸化することを防ぐためと推測されます。

 

ノチーノは、消化を促す食後酒として嗜まれるようです。

少量をそのままいただくか、またはアイスクリームのトッピングとしてデザートに食されることもあるとか。

胡桃に含まれるタンニンやポリフェノールによる抗酸化作用があるようですが、nochino酒の薬効の科学的検証はまだ発表されていないのだそうです。(どなたか是非検証してみてください)

 

レシピは、各家庭それぞれ。スパイスの塩梅で、”ウチの味”を出しているのでしょうね。

インターネットは便利なもので世界中の自慢のレシピをみることができます。

日本語と英語のものだけでも、30〜40ほどのレシピが見つかり見比べてみると、スパイスをいれたりいれなかったり、スパイスを砂糖で煮詰めてからあとからいれたり、葉っぱをいれたり入れなかったり、強めのスピリタスで漬けたものや白ワインで漬けたものなど、本当におウチの数だけレシピがあるようです。

どのレシピでも共通していたことは以下の5点。

nochino

★胡桃がしっかり隠れる量のお酒を使う。

★レモンやオレンジなど柑橘類の皮を入れる。

★頻繁によく振る。(毎日を推奨しているレシピ多い)

★涼しいところで醸造

★胡桃やスパイスは取り除き、漉した液をしっかり瓶詰めして冷暗所で貯蔵。

 

 

 

 

温和堂は、砂糖の味が苦手なので代わりに蜂蜜を使いました。イタリアに敬意を表しイタリアのオーガニック蜂蜜で。

分量は適当です。出来上がってからのお楽しみです。

あっという間に黒くなってしまったので少々苦味がきつめになるように思い、蜂蜜は多めにしています。

 

未熟鬼胡桃:15粒(奇数にしておきました。1/4にカット。)

スピリタス:500ml

蜂蜜:400g

肉桂:8〜10グラムほど

クローヴ:5粒

無農薬レモンの皮:一つ分

 

生胡桃のタンニン酸は思いの外つよく、手が染まりました。手に染みます

調べてみると、青胡桃は草木染めの染料にもつかわれるのですね。

 

4ヶ月経ったころから飲み始められるとのこと。しばらく瓶振りを楽しい日課とします。

再生パワーのつまったノチーノを愛でるのが楽しみです。どんなお味に仕上がるかな。

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