有難きこと 椎茸と海藻と循環

  • 2018.02.28 Wednesday
  • 17:56

一昨年の夏、大穂の里山に移住してきた頃から温めていたいくつかあるやりたいことリストのうち2つが、今日素晴らしい巡り合わせで実現しました!!

 

一つは、ホダ木場にホダ木と椎茸を戻し、ホダ木(とイノシシの餌にもなる、カブトムシも呼べる)どんぐりのなる木々を育てること。

もう一つは、みかんの果樹園に、玄海灘の浜に上がった海藻をミネラル補給材として撒くこと。

 

今朝、集落の農家さんのお力添えで、ホダ木の設置は叶いました。

 

ホダ木場

あとは2梅雨待つことと、次のホダ木となる堅木を里山に植え育てていく。

 

もう一つの玄海灘の浜の海藻。

昨日訪れた宮地浜。海岸にはたくさんのホンダワラが打ち上げられていました。こっそり持ち帰ろうとしていたら、Hさんにばったり会いました。Hさんは宮地浜でビーチクリーンをされていて、浜の海藻は捨ててしまうから持って帰って良いとビーチクリーンの棟梁のような方が言っていた、と耳寄り情報をいただきました。そこで堂々とビニール1袋分くらいを意気揚々と持ち帰ったのでした。

そうしたら、今日椎茸作業が終わった後にHさんより連絡がありました!!

宮地浜に海藻が打ち上げられるのは2月の終わりころまでで、今日集まっている海藻は全てほかしてしまう、と!!

 

なんとHさん、既に浜の海藻を全て車に積んでくださっていて、大穂まで運んでくださると!!!

海藻で満載の軽ワゴンで駆け付けて下さいました!!

海藻満載サンバー号

お言葉に甘えて、Hさんにお手伝いいただき、私のワゴンに積み直し、

さらにみかん畑まで海藻を運び込むという作業までご一緒していただきました。

雨が降ってきたので、今日はとりあえず山に置き、後日みかんの根元に撒いていきます!!

ホンダワラ、みかんを滋養す

海藻のミネラルで柑橘が元気になるそうです!

 

椎茸も、海藻も全て全て、たくさんの方の本当に暖かいお心だてによって実現している。

本当に有難きことです。

深謝です。

 

人も想いも暮らしもみな、循環していきている。

循環する暮らし 半鍼半里山

  • 2018.02.02 Friday
  • 21:43

温和堂が福岡県宗像市に移り住んでから約1年半が過ぎようとしております。

現在温和堂は、出張鍼施術の他に里山保全活動もという、半鍼半里山暮らしをしています。
様々なご縁からその様子が、3月号の宝島社『田舎暮らしの本』に掲載されることになりました。
取材に来られたライターさんにとても分かりやすくまとめていただきました!
『田舎暮らしの本2018年3月号』『田舎暮らしの本』 2018年3月号〜北部九州で菜園生活〜
本日発売です。
どうぞ書店よりお買い求めください!

 

 


移住した住まいは、里山付きのシェアハウス。
福岡市内から車でも1時間弱で来られる「近田舎」の宗像市。
中山間地の田園地帯と都市部をつなぐ新しい試みに取り組んでいる「むなかたシェアハウス」の住民になったきっかけは、里山でした。
里山
周囲を木々で囲われた7200坪のすり鉢状の地形。用地の中心にある棚田は山の滲み水と雨水だけで潅水される天水棚田。
そこには、山主さんの先代、先先代からの工夫と知恵によって保たれているひとの営みと豊かな生態系という山の生物の営みが見事に調和している素晴らしい里山環境があります。

 

 

 

水路のある平野部の田畑とは異なり、中山間部にあるこちらの里山の水の調節は、暗渠や明渠という溝で行われます。

 

鉄分が多く粘土質のこちらの里山は、水をしっかりと貯めて漏らしにくいという水田に最適の土壌です。
反面、その粘性から泥濘み易く水はけが弱い、という側面もあります。
里山の水の流れを、鍬でお手入れしながら「ああ、これはひとの体と同じだな。」と実感します。
溝に溜まる粘土は時折掻き出して水の流れを作っておかないと、おりが溜まりガスが発生する。
血液の流れも同じです。
多様な生物で溢れる里山環境。そこで営まれるひとの暮らし。
大自然と人の間にある緩衝帯としての里山。互いに生かし生かされつつ、恵みを分けていただく。
里山はまた、平野部の田畑を潤す伏流水の水源地でもあります。そしてその流れは海へと流れ着く。
全てが連関しながら循環される生きる営み。
そんな生きることの基本を体感できる場が里山です。
日々のお山のお手入れの他に、山主さんとお仲間の皆様と毎月里山活動の定例会「フォレスト・ガーデン・プロジェクト」も開催しています。

 

切れ味は味のうち

  • 2016.01.16 Saturday
  • 04:13
松が明けました。
本年もよろしくお願い致します。
研ぎ
新年初めの投稿は、切れのあるお話から。
今日はご縁がありまして、西荻窪の醸(かもし)カフェさんで開催された包丁の守り方と研ぎかたのワークショップ "食材がこんなに美味しく活きる、料理は先ず『切ること』から!料理包丁の在り方、研ぎ方講座” に参加してきました。
庖丁の守り方、という表現は初耳です。
伝えて下さったのは、京都は南丹の工房・食道具竹上さんの庖丁コーディネータ廣瀬康二さん。
庖丁の在り方講座包丁を単なる刃物では無く、日々の食生活に不可欠な道具として庖丁に寄り添って扱って欲しい、というメッセージを込めて次のように庖丁の「守り」について説明されました。
「普通、庖丁には"管理"という言葉が使われますよね。
朝昼晩のお料理に使う包丁に一日の終わりに"庖丁さんありがとうね"、と心を寄せ同じ目線に立って見守るように庖丁を扱っていただきたいな、と思って”守り(もり)”という言葉を使っています。」

庖丁の「守り」具体的に何をするか、というと日々のメンテナンスです。
使用中のこまめな拭きとりと使用後1日の終わりにクレンザーでしっかり磨き洗い。「洗剤で洗って落ちるのは、油よごれのみ。野菜のアクなどは研磨剤で磨き取る必要があります。この時刃だけでなく柄の部分もしっかりクレンザーで洗いあげてください。柄の部分によごれが溜まるとそこから錆びたり木が破損したりすることにつながります。」
日々の守りをしっかりしておけば、切れ味が長持ちし易くなるのだとか。それでもたまには砥石をつかって刃先を磨きあげておくと、シャープな切れ味が持続するそう。
参加者の方から簡易シャープナー(円盤状の砥石の歯車の間に庖丁の刃先を入れて前後させる道具)について質問があがったのに答えて、廣瀬さんの回答は「ステンレス製の庖丁なら使用可だと思いますが、クレンザーによる日々の守りをしていればシャープナーの必要性はあまりないでしょう。鋼の庖丁には使わないでください。刃先の鋭い形状がなくなってしまいます。」そうですよね。よく考えてみたら、庖丁は金属製。クレンザーを使えば十分簡単な研磨になるのですよね。


研いで頂いた母の和庖丁実はこのワークショップ、事前に調整していただいた庖丁をつかっての研ぎ実践という大変手間の掛かったものなのです。庖丁は日々使ううちに厚みに差がでたり柄と刃の接続が緩むなどの歪みが出るもの。そういった歪みがあると鋭い磨ぎ上がりまでに時間が掛かってしまうとのことで、事前に竹上さんの工房で叩き直しや磨きいれをしていただいていました。

温和堂は、母の遺した和庖丁を2丁調整に出しました。あべの辻調理師学校で調理師免許をとった母。温和堂の台所には何丁も鋼の和庖丁や5台ほどの砥石が遺されています。私自身はステンレス製のお気楽庖丁の使用経験のみの人なので、本格的な鋼の庖丁など畏れ多く、いままで放置してきたのです。調整していただいた母の出刃包丁、実はとても珍しいものでした。出刃包丁は片刃のものがほとんどなのですが、母の出刃は両刃のものでした。一体なぜ両刃なのか、いまとなっては知る由もないのですが。。。

竹上の庖丁講習時間のなかで幾度も、「素材を活かすためには鋼の庖丁でないと。」とおっしゃる廣瀬さんのメッセージが耳に残っています。
ステンレスというのは、”錆びない”ことを特性としてデザインされた金属のため、どうしてもスカッとした切れ味をだすことが難しいものなのだそう。
それにひきかえ鋼は、スカッと鋭利な切れ味をだすことを目的にデザインされているため、スッとシャープな切れ味が持続するのだそう。
鋼の短所である錆びは、守りや研ぎといった日々のメンテナンスで十分防ぐことができるもの。錆びない素材で切れ味を落とすよりも、切れ味を生かして錆びさせない工夫をすることで、より素材を活かした食生活を送ることができる、ということなのです。

また、廣瀬さんは和庖丁のよい点として、一生使う道具としての庖丁がしっくりと手になじむように作られていることをご紹介されました。
柔らかな朴の木を柄の素材にすることで使ううちに手の形に合うように変化するのだそうです。そして柄と刃の接続部には水に強い水牛の角が使われているのだそうです。昔の日本の奥深い知恵の片鱗が庖丁という道具のなかに息づいているのですね。


tomato料理の決め手は切り口と出汁である。切れ味は、和食の五味の一つと説く人もいる、と廣瀬さん。
美味しいと感じる項目には、切り口の整った美しい見た目、エッジのたった歯ごたえや舌触りといった触感、細胞が生き生きした鮮度、スッと味が馴染んだものなどが挙げられます。どれも切れ味のよい庖丁のなせる技なのです。そういえば、(個人的にはキビシイのですが)活き造りのお造りは切れ味の鋭い庖丁だからこそできる職人技なのですね。お野菜も切れ味のよい庖丁をつかうと細胞膜の傷つきが最小に抑えらえるため水が出てきたりすることも少ないのだそうです。また切れ味のよい庖丁でひいたお造りは滑らかな表面で余分なお醤油が流れ落ちるため、素材の味に丁度あった調味料づかいができ、そして切り味よく捌かれれば、食材あますところなく使え、無駄を省くことができます。

研ぎの終わった庖丁の柄の根元を指でつまんで最小の力でトマトを切る、という実験にも挑戦。研ぎ終わったばかりの鋭利な刃は、力を要さずとも庖丁そのものの重みでスッとトマトの皮を切ることができました。
本当にシャープな切り口で見目麗しく美味しいトマトでした。素材が活きていることを五感で実感することができました。

道具を大切に、素材を大切に、力を入れずに。この要点は鍼灸の道やその他いろいろな道において共通して意識する点です。

「例えば大工さん。道具に気を配ってきちんと調整をして、道具の整理整頓している人はよい仕事をされます。」

日々のメンテナンスと整理。
庖丁研ぎを学びにきたのですが、人生においても私の生業においても活かされる肝腎なことを得た三時間でした。
最後に、砥石は30分以上お水に浸水させること、砥石と刃からでる泥をつかって研磨すること、を研ぎの備忘録として残します。
ありがとうございます。

地球とともに生きること 〜アップサイクルと”土と平和の祭典”に寄せて

  • 2015.11.01 Sunday
  • 22:59
アップサイクル Field Garage
コンボスト木箱をつくるアップサイクルプロジェクトのワークショップに参加してきました。

アップサイクルプロジェクトとは、元の用途では不要となった有用な資材を別の新たな用途として活用させる活動、とでもいいましょうか。

アップサイクルリンゴ箱今回のコンポスト木箱は、元の素材は青果市場のなかで使われているりんごの木箱。木箱としてはまだまだ現役で活躍できるのですが、市場のなかで再利用される機会がなく、廃材となっているのだそう。そのりんごの木箱をコンポスト用にDIYで作りなおし、日々の生活で改めて大活躍してもらう、というコンセプト。


箱
ノコギリ、とんかち、くぎを使った十何年振りの大工仕事。
慣れない釘打ち作業はまっすぐに釘が進まず難航しましたが、作業終盤のほうでようやく感覚がわかるようになってきました。打鍼※1の感覚に近いようです。

メンバーの方々の温かく頼もしいサポートのおかげ様にて私の木箱も無事にできあがりました!!この箱の中で野菜クズが菌たちに分解される、と思うと愛着がぐんと増してきます。


コンポスト温度
アップサイクルメンバーの原さんのところで現役活躍中のコンポスト土(?)に触れさせていただきました。十分に発酵しているその土は発酵のためほんのり温かく、放線菌(ノーベル生理学。医学賞受賞者のDr.大村が発見したのも放線菌の一種)の塊もみえました。
野菜クズだけの場合はほぼ無臭なので台所に置いておくことができるそう。
配送されてきたら、我が家の台所でもコンポスト生活ができるのがたのしみ!



古謝美佐子さん
その後、日比谷公園で開催されていた、土と平和の祭典2015 で友人の息子さんと合流。
竹で組んだ大きなピラミッド型やぐらとブランコが目をひく芝生公園のステージではYaeさんや古謝美佐子さん、加藤登紀子さんなど豪華なアーティストがライブをされていました。
古謝美佐子さんの歌声は、大地のような温かい響きでじんわりと心に和らぎが広がりました。


トークイベント「お金に頼らない村をつくろう」というテーマのトークイベントの中で、鴨川の長老がおっしゃていた「結い」という、昔ながらの共同体にある支え合いのシステムのことが印象に残りました。

農作業のとき、ひとりではできることが限られています。でもサポートの手が一つでも入ると、多面的な作業をすることができます。
例えば刈り取った稲を干す、はざ掛け用の馬を立てるとき、だれかの手があるとぐっとできることが広がります。


脱穀会場では足踏み脱穀機を体験させてもらったり(思いの外スピードが出ます)、出展のものを触れながら、出展者の方々からお話を伺ったり、
竹チャルカ
携帯型の竹製チャルカ(糸車)を拝見したり、友人、知人にばったり会ったり、と盛りだくさんでした。









携帯型ストーブ
トランジションタウンさんのブースでお湯を沸かしていた手作りモバイル七輪がたいへん素晴らしく、参考にさせて頂きいつか試作してみたいと思います。



出展の方々、参加者の方々みなさんから、自由意志をもち仲間と共に支えあって生きよう、という凛とした姿勢を感じました。


皿拭き用古布
会場のお食事はレンタルのお皿に盛られて提供されていました。マイ食器を持参で来場の方も見受けられるのはさすがです。
返却する際には古布を使って一度拭いてから、というちょっとした配慮が何気なくなされていることにいたく感銘をうけました。
水洗する前に布で、お皿に残ったソースなどを拭き取っておくと少ない水量、洗剤量で皿洗いができるのです。みなさまも一度トライしてみてください。脂汚れに〜ヌノ♩です。

今日は日中は暖かな1日で、地球温暖化など気候変動を訴えて歩いていたシロクマの着ぐるみの方はなかで暑くなかったかな?と少し心配になるくらいでした。
午前中のトークイベントで、TPPのお話をされていた山田正彦さんが会場をゆったりと歩いていらっしゃるのを拝見して、長年にわたり大変な活動をしておられる山田さんに心からの感謝を伝えたかったのですが、不躾なので遠慮しました。。。

日々の生活のなかで、地球の一員としてわたしたちは生きているのだ、ということを感じるようにしてみるだけでも、なにかできることが見えてくるかもしれません。
ひととのつながり、しぜんとのかかわり。
どちらが欠けても生きられないのが、ヒトという動物なのです。
そんなことを感じる1日でした。


※1打鍼:腹部のツボに当てた刺さない鍼・鍉鍼を木槌で叩く振動で症状の改善を目指す鍼の療法の1種

月とたねとひとと

  • 2015.09.01 Tuesday
  • 18:14
8/30は満月でした。
日本では古来、”播種(種蒔き)は満月頃に、定植(苗の植え付け)は新月に”といわれているそうです。満月のとき、地球は月と太陽の中間に挟まれるように一直線に並びます。
この様子、こちらのページがわかり易いです。→地球の水と月と太陽
(「はからめ」さんのご了承を得てリンクを貼らせていただいています。)

満月ころに蒔いたたねは発根がよく、土中にしっかりとたくさんの根を張ってから芽をだすため安定し、かつ根からの土中の栄養吸収も高くなり生育がよくなるのだそうです。
言い伝えによると、小松菜はどの季節の満月に蒔いてもうまくいく、のだとか。
 
そんな満月の日、たねの交歓会に寄せて頂きました。 
なぎの森 メニュー
主催の下北沢のPolePoleなぎの森さんのやさしいお味の野菜お料理を頂くと、お野菜を育てた先にはこんな美味しいものを頂ける、というくらしの中の循環をがみえてきます。なぎの森さんのお料理のようなお味が出せるようになりたいものです!(あまりに美味しくてうっかり写真を撮る前に食べつくしてしまいました。)

たねの交歓会
農家さん、八百屋さん、家庭菜園で栽培されている方、そして私のようなプランター菜園愛好家まで。たねから育てるたねびとさんたちとのたねの語らいと分かち合い。
交歓会の進行役の末木さんは、Share Seedsの活動を日本で立ち上げられた方です。
ハワイ発祥のShare Seeds は、自分で育てた野菜や花、ハーブなどのたねをみんなで分かち合い、次へと繋げていくギフト経済の活動です。
種苗法で採種が禁じられているF1種などの種子は交換の対象になりませんが、自家採種の固定種のたねや、採種規制のない固定種のたねを分かち合います。

たねの交換会そのものは、昔から農家さんの間でも日本各地で行われてきました。
違う環境で栽培され、育て継がれることで種の保存がなされてきました。 ある地域で栽培されていた作物が天災などで全滅してしまうこともあります。そんなとき交換会を通して別の地域で栽培されたものが無事に種採りまでできていたら、次の種蒔きのときに戻してもらうことができます。交換会、という顔のみえる場だからこそできることなのだと思います。


たねのこと、ほんとうに大切なことですので、別項をたててまたご紹介します。

PolePoleなぎの森たねBox
Share Seeds 活動の一環にShare Seeds たねBoxがあります。
賛同者の方のお店などに設置されていますので、ぜひお近くにありましたら寄ってみてください。
右画像は、PolePoleなぎの森さんのSeeds Boxです。
たねびとの方からの持ち込みのほかに、この箱から持ち帰った種で栽培した近隣の方が何倍にもしてこの箱に戻されたたねも入っているそうです。
たねがつなぐひとのつながりですね!


暑中お見舞いもうしあげます。〜冷房考と夏の過ごし方〜

  • 2015.08.01 Saturday
  • 13:49
tomatoes暑中お見舞申し上げます。

今日から8月。
7月の前半からの猛暑続きで体調を崩されていらっしゃる方のご来院が増えてきました。
冷房の効いた室内で就寝中も含め1日の大半を過ごしているうちに喉が痛くなり、咳や倦怠感、節々の痛みといった感冒のような症状が出てきたそうです。冷房夏風邪、とでも呼びましょうか。

お体を拝見しますと胸郭から上の部分と下の部分の体温差が著しく、頭はかなりの熱がこもっているのですが、下半身の冷えは冬場よりも強いくらいでした。
下腹部や骨盤部の冷えもさながら、足先は触れた温和堂が思わず「ヒヤッ」と声を出してしまうほどに冷え切っていらっしゃいました。

とりいそぎ、頸と項の境目の辺りに保冷材枕を置き3〜8分ほど当座の火照りを下ろします。
その間に、頭頂部、手足の爪先の井穴に刺絡鍼法を施し、足元と下腹部は箱灸と遠赤外線で温め、その後に全身の施術をさせていただきました。
施術後、ハイビスカスの花茶と蜂蜜漬け梅をお摂り頂きました。梅干しが理想なのですがあまりお好きでないとのこと。


レモン塩 梅干し
ご自宅では夏野菜に自然塩、またはレモンに岩塩などの自然塩を軽くひとつまみのせたもの、あるいは麦茶に自然塩を軽くひとつまみいれたものをお勧めしました。そして頸と項の境目のあたりにくるように濡れタオルか保冷材をタオルで巻いたものをあて、5分ほどしたら外します。そして暑さを感じたらまたつけるを繰り返すという養生をお伝えしました。
そのほかに、冷房との付き合い方として、点けっ放しにするのではなくある程度室温が下がってきたら一旦オフにして、扇風機で部屋の上と下の空気を攪拌する。室温が30度を超えたらまた冷房をかける。冷房中は腰から下、特に足首から先が冷えないように衣類で調整をする、ということもお持ち帰り頂きました。

熱は上昇します。熱気球や蜃気楼を思い浮かべていただけるとわかり易いかと思います。
冷房の効いた室内も、冷気は足元にたまるのですが上のほうは熱がこもります。
足元にサーキュレータを設置するだけでも冷房効率は高まります。そして冷房の中では足元が冷えないようにお気をつけください。

体の中の熱も同様です。加えてヒトの脳はからだの最上部に位置します。
全身血流量の約15%ほどが送られる重要な臓器である脳では、全身酸素消費量の25%ほどを消費するほど物質交換が盛んに行われています。それだけ頭部は熱があがりやすい部位といえます。このように熱を発生しやすい頭部には放熱の機構である汗腺が十分に備わっています。体温調節のためにかく汗は、エクリン汗腺という表皮の器官から体外に出されます。
体温上昇を察知するとからだは発汗をはじめますが、先ず額や鼻など当顔面部より発汗します。脳のオーバーヒートを防ぐための自己防衛機構として生まれつき備わっているものです。

発汗は、打ち水と同じ気化熱の作用によって、熱を体表より逃がします。
汗をじゃんじゃんかいてください!汗をかいたら汗をふくか、濡れタオルまたはシャワーで汗を落としましょう。不快さがとれるだけでなく、表皮の衛生を保つとともに次なる汗をかき易くなります。

発汗後は、ミネラル分の補給を第一に。
梅干しが一番おすすめです。甘味や食品添加物が使われていないものをお使いください。
梅干しが苦手な方は、麦茶に自然塩またはレモンに自然塩をおすすめします。
きゅうりやトマトなど露地ものの旬の夏野菜に自然塩のセットも理想的です。

自然塩には、ナトリウムだけでなくカリウムやマグネシムなど発汗後のからだに必要なミネラル分も含まれています。
麦や夏野菜もバランスのよいミネラルを含むだけでなく、適度に体温を下げてくれるはたらきがあります。
梅干しとレモンは、発汗により失われた体力を、クエン酸で補うことができます。

スポット冷房
温和堂の治療室、実はいままで扇風機や冷風機を5台駆動して夏をやり過ごしてきていました。連日の33度越えを記録する今年の夏、とうとう冷房を導入いたしました。
部屋の構造上、室外機付きの冷房を設置することができないため、排気ダクト付きのスポット冷房です。
この冷房をつけて改めて、足元がひえることがわかりました。
排気ダクト
また、排気ダクトまたは室外機から放出されている熱量のなんと高いこと。
冷房の過剰な使用により、私たちは自身の体温調節機構を衰退させてしまっているだけでなく、外気温の上昇におおきく貢献してしまっているのだ、ということ。
スイッチのON-OFFだけで簡単に温度調節を済ませてしまうのではなく、環境全体の健康観をもういちど見直してみると、いろいろな発見があるかと思います。梅干しが土用干しを経てこのタイミングで出来上がるのも夏の身近な命薬としての意味があるのでしょうね。 これからどんどん美味しくなるウリ科の旬野菜や果物はぜひぜひ上手に生活にとりいれて体温調節に役立ててください。

Medicinal Art:謡くすり

  • 2014.12.08 Monday
  • 22:16
温和堂、お友達のご紹介で今年夏から能楽師さん直伝によるお能の呼吸と所作のワークショップを受けています。今日は今年最後のお能のお稽古の日。
このところすこし下がり調子だったからだが随分と楽になりました。

そのむかし、お能の舞台がたつと観客席に連れられてきた臥した病人が、謡(うたい)をききいるうちに病が癒えて歩いて帰って行った、ということがあったのだそうです。
お能の謡をうたうときは、足心(足の裏)と丹田(下腹)、百会(頭頂)すべてをつかいます。
全身を共鳴させているお能の謡には、ソルフェジオ周波数のようなDNA修復のちからをもつ音の周波が発生しているのかもしれません。
実際、いつも先生の謡を聞いているだけで骨格筋だけでなく臓腑の緊張もほぐれていき、血流がよくなり、細胞単位で全身とても心地よくなっていくのを感じます。

さて、今日のお稽古では新しい謡と発声の方法にチャレンジしました。
これまで練習してきた謡は説明調のものでしたが、今日は一歩進んだシテとワキという登場人物の台詞の掛け合いの謡でした。
そして声の出し方も新しい方法にトライすることになりました。声を前方にはり出していくのではなく、声を自分のからだの奥に引き込み、丹田に内側から響かせるように謡う、という方法。

今日の謡曲は西王母の一曲。
主役のシテは常世の住人仙女の西王母。三千年に一度結実する桃が実をつけたことを、現世の住人のワキに告げ、瑞祥をともに寿ぐという一幕。
くわしくはこちら  

この世のものでないような不思議な抑揚をもつ仙女西王母の節まわしは、からだの内に響かせていく謡い方がとてもあっているようでした。
能の謡は言霊に謡がはいった謡霊(うただま)。仙薬である桃が登場する謡をうたったことも今日の私の体調回復に一役かったのでしょうか。

今日は先生から、「丹田に響いてきて息に根が生えましたね」とありがたいお言葉をいただきおおいに体調が復調しました。


苔むして 石 土を生ず

  • 2014.11.20 Thursday
  • 00:23
三浦先生自然農法家の三浦伸章さんの講演会に参加してきました。

実は温和堂、三浦先生の「プランターではじめる自然農法」というクラスを受講しています。クラスメートの方々の主催による講演会でした。
クラスでは講師の三浦先生が静岡の大仁農場などで26年にわたって培ってこられた太陽と月と地球の関係、農作物の生態、土壌、土中微生物、根の作用など基本的な知識から、土づくりと植え合わせ、虫対策など実践の経験に基づいた技法まで含めて幅広く教えていただいています。

生命は必要なことを全力でなしています。
植物は日中、地上での光合成に勤しみます。そして夜間は活動の舞台を土中にうつします。夜間は土中の水分を求めて根を伸ばす時間なのです。そのため日没後の水やりは根の生育を妨げてしまうことになります。
昼行性動物であるヒトのからだも太陽と月の時間を使い分けています。成長ホルモンが最も効率的に分泌されるのは睡眠中の夜間といわれています。
植物もわたしたちのからだも同じように、太陽と月と地球のエネルギーとともに生きています。

植物は動物と違って根をおろしたらその場から平行移動はしない生命体です。
平行移動はしませんが上下に伸び、周囲に広がります。そして次世代のたねをもって平行移動をし種の保存をします。
たねが地に落ちたら、芽を出す前にまずすることは根を伸ばすこと。驚くほど深く、深く。
  ペットボトル栽培をしてみると根の生長を可視化できますので、試してみてください!おもしろいですよ!!
根が十分深く伸びて初めて、地上では双葉から本葉へと芽が成長していきます。
この時期におこることは素敵な生命の神秘に満ちていますのでまた稿をあらためましょう。


苔むした屋久島の花崗岩の斜面さて、講演会のなかで、びっしりと苔むした石垣の画像を表示しながら三浦先生がおっしゃったことが心にのこりました。

「この苔が生えることによってこの石は土へと変わっていきます。石が土になることが必要なので、この苔はこの石に生えているのです。」

このような感じのことを三浦先生がおっしゃっていました。

日本は火山が多く、広く花崗岩などの火成岩に覆われています。加えて多雨の気候でつるつるとした花崗岩の表面には植物が根を深くおろすことは難しいという風土気候の特徴があります。
こ のような岩石の表面には深い根をはらずとも生きられる苔類が張り付きます。そしてその苔を足がかりとして草木が根をおろします。草木は根の先端から酸性の 有機化合物を分泌します。この有機酸の作用により植物は菌など土中微生物を介して分解された岩石のミネラル分を養分として吸収したり、不要な物質を無毒化してより生きやすい環境をつくっていきます。
同時に苔や草木の根により岩石の間に保持される水も岩石を融解し、また植物の根の成長そのものの圧力も岩石を壊します。植物は時間をかけて岩石を土へと変容させていきます。
(右上の画像は屋久島の花崗岩の斜面を覆うコケ類)



いのちが生来もっている生命力を信頼し、よくよく観察していのちが本当に必要とすることを粛々とシンプルに行う、ということをあらためて心得る機会となる講演でした。

素晴らしい講演会をありがとうございました。

た ね:根を張り高く〜塩見直紀さんのたねのお話

  • 2014.10.26 Sunday
  • 11:24
先日の10月24日、和暦の長月朔日は、今年10回目の新月の日でした。

新月のとき、地球からみた月と太陽の位置関係は、地球→月→太陽と並びます。
地球は月と太陽ふたつの引力に引っ張られることになります。新月のときにその月の立志をするといいといわれるのは、この月と太陽の引力を上手に取り入れようということなのでしょうか。

半農半Xそんなお朔日に、温和堂は半農半X研究所の塩見直紀さんのたねのお話を聞くという機会に恵まれました。『半農半Xという生き方』のご著書で有名な塩見さん、『たねっと』という在来種をのこす活動もされていらっしゃいます。(詳しくは塩見さんのホームペーをご参照)
会報たねっとに掲載されていた種にまつわる言葉をお土産にいただきました。


    :かく、くさん

    :っこを張る

上に伸び、繁るためにしっかり根をはる。わたしたちのからだの健康と同じですね。
東洋医学の、天人地の思想と同じものを感じます。

印象にのこった言葉に

  種は蒔かれたように生える

というものがありました。蒔き時、蒔く地、蒔く心持ち。たねのあり様。そういった要素が生えてくるものを形作っていくのでしょうか。

講演のおわりに、数式をいただきました。

  A x B x C      :分子-自分の好きなこと(魂が喜ぶこと、大切なこと)
 ------------------------
  (   場   )     :分母-自分が根を張る活動の場

この数式、完全一致する人はまだいないそうです。
ひとりひとりの生き方の数式。根を張って、天を仰いで生き方をみつめなおすことができる数式だな、と思いました。
そして期せずして新月の立志を講座のなかで書き記すことができました。



                   塩見直紀さんのご著書

                   『半農半Xという生き方 実践編
                   『半農半Xという生き方【決定版】 (ちくま文庫) 』

食べること、生きること 〜自然農のイベントに行ってきました

  • 2014.09.01 Monday
  • 15:53

大豆プランター 今年温和堂は、自然栽培という視点から食べること、生きることについて(本業の鍼灸の研鑽に加え)勉強しています。
自家栽培の野菜や、自然栽培農家さんから直販していただいたお野菜を食べる生活になってから、五官の発達や体調の変化を敏感に感じることができるようになってきました。そしてなによりなんだか楽しい!
(左の画像は温和堂のベランダ菜園の大豆プランター)

 





農Futureパネリスト昨日8/31野菜の日。自然栽培農の5名の農家さんと自然栽培野菜料理のシェフから自然農の未来についてお話しをきくというイベントに参加してきました。パネリストの熱い思いが伝播したせいか、昨晩はなかなか寝付けないくらいでした。。。備忘録的におんわぶろぐに綴ります。
 

昨日のイベントに限らず自然栽培をされている生産者の方々のお話しを聞くと共通して「枠にはめずに野菜をみて欲しい」という想いを口にされます。形や大きさ、色などが揃ってないのが、野菜本来のある姿。


久保さん神奈川の藤野でシンプルベジを主宰されている久保正英さんは春菊を得意とされていらっしゃる兼業農家さん。春菊の久保さんと呼ばれるのは、久保さんの耕作地 がよもぎなどのキク科の先住植物が生えている土壌だったから。キク科にあった土壌には春菊を植えるとうまくいく。土壌にあっていない作物を人間の経済の都合で無理 に栽培するとうまくいかなくなる。人間の枠から自然の枠につけかえて見直してみると、楽しみながら作物を育てられる。



木下さん木下俊さんは、自然栽培野菜を使ったお料理の出張料理人。自然栽培のお野菜にはしっかりと素材の持ち味があるので調味料で誤魔化さなくても美味しい料理ができるようになったとおっしゃっていました。旬のお野菜のもつ高い栄養価についても強調してお伝えになっていました
 

中川さん山形おきたまの14代目農家の中川吉衛門さんは米作もされていて、ゆっくりと根を張りながら育つ自然農法の稲が水田に溶けそうになりながらも、草にまけそうになりながら も、あるときを境に確りと成長するのをみると毎回毎回すごく感動する、と。この方の作られるお米は本当にパワーがあっておいしいです
 

平塚てるてる農園の臼井さんが、慣行農業から自然栽培に転換されたきっかけは、ご自分のお子様が畑で泥まみれになって遊んでいる姿をみたこと。その姿をみて、ああ、もう(農薬の)散布を止めよう、と。



田中さん神奈川津久井の固定在来大豆を自然栽培し、その大豆でテンペを作っているLocosFarmの田中さん、津久井在来大豆以外で初めて植えた山形の大豆だけがみごとに猿に食べられてしまったそう。自然はよそ者をしっかり見分けているのかもしれない、と。






パネリストの方みなさま一様に、初めのうちは虫や獣に「なめられる」。
それでも飽きずに種を蒔きつづけていくうちに、土と作物がなじんで、次第に虫や獣に悩むこともなくなっていくものなのだ、と

 

イベント発起人で山梨八ヶ岳の自然農園空水ビオファームで栽培した小麦をパンとして販売されている岡本よりたかさんは、虫だってその環境で生きている。何割かが虫に食われてしまってもいいように蒔けばいいのです、と。

 

自然栽培のお野菜を食べる理由を改めて見直してみました。健康のために食べている、それもあります。

でもなんだろう。それだけだと「なんだか楽しい!」にならない。つくっている方とのコミュニケーションがあるからなのかもしれません。自然栽培のお野菜や果物は生産者の方からの直販が多く、育っていく過程や状況などお話を直接きくことができます。
自分自身でもプランターで野菜を育てるようになってから、新月や満月との関係、土のなかの微生物のこと雨のこと陽当たりのことそういった自然とのコミュニケーションも感じる ようになってきてから、ぐんと食べることが「なんだか楽しい!」になってきました。

 

建築のお仕事との兼農の田中さんがイベントのなかで尊敬する建築家として、アントニオ・ガウディを挙げられていました。

「自分が生きている間に終わらない仕事を遺した。それを継いでつないでいる人たちがいる。」

種をのこすこと、土壌をのこすこと、農をのこすこと、生きることについて、また違う視点からみることができました。

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