「からだは自然」〜養老孟司さんのお話

  • 2016.09.17 Saturday
  • 22:02

中秋の名月後の和暦葉月の満月は東京から鑑賞しました。

七月末に福岡県の宗像市へ転居してから約ひと月半ぶりの東京。
東京滞在中だけ期間限定オープンしている板橋・温和堂の治療室にて久方ぶりにみさせて頂くみなさまのお身体に、秋の気配が散見しています。秋のお彼岸を過ぎると朝晩は冷え込んできます。
夏の間発汗するために開いていた毛穴に、うっかり初秋の冷えが入り込まないための工夫を一つ。
少しでも冷やっと感じたら、「クビ」の名のつく体のパーツ(首元、手首、足首)を衣類などで覆ってみてください。

 

 

養老孟司先生
9/17は、養老孟司さんのご講演を聞きに行ってまいりました。直接伺いたいと長年望んでいた養老先生のお話。
穏やかな中に凛とした堂々たる佇まいのお姿、探究心に満ちたキラキラ輝く瞳、ゾウムシから解剖学、経済学に至る幅広く深いご見識、智の巨人でした。

 

虫の虫

この講演は、グレートジャーニーで知られる医師で探検家の関野吉晴教授(武蔵野美術大学)が主催されている地球永住計画のシリーズ講座の一つ。

養老孟司さん、明治神宮の環境調査をディレクションされた(株)環境指標生物の新里達也氏、主宰の関野吉晴さんのお三方によるシンポジウムのテーマは「都市緑地の重要性」。

とても示唆に富む内容でしたので、温和堂のメモに残っているものを備忘録として起こします。

 

シンポジウムに先立つ「虫から人間社会を考える」をテーマとした単独講演の中で、養老先生は脳化するひとについて述べられました。意識が捉えられることができる世界はわずかなもので、脳や意識で”違い”を認識することは難しい。犬や猫など絶対音感を持つ動物は解剖学的に、振動数をしっかりと捉えることができる構造を持つ。”違い”を認識するのは感覚であって意識ではない、と。

 

 

シンポジウム

「都市緑化の重要性」。このテーマ自体が、”緑があることを必要としている”という意識による概念なのでは?緑(自然)は意識や理屈のものではなく、それ以前のもので生命にとって必然のものなのだ、と養老先生。

 

脳は目の前の環境で起こっていることを実在として捉えてしまうものなので、スマホの画面だけを見ているとその世界がそのひとの実在となっていってしまう。お金というものも実際は抽象の存在でしかないのに、実在のものとして捉えられている。

最近姿を見ることが少なくなった蝿。五月蝿いと書いて、”うるさい”と訓むが、将来は”めずらしい”と訓むことになるかもしれない。虫が人間の行動により変化をさせられている現実。

都会には人工のものしか無くなり、自然を現実のものと捉えられない人が大多数となっている現在。

 

ここで一つの問いが養老先生より投げかけられました。「なぜ人は服を着るのでしょうか?」と。

養老先生曰く、からだは自然なので、自然であるからだを隠すために人は服を着るのだ、と。人間の中にある自然は都会の中で見せてはいけない、という意識がひとに服を着せ、サプリメントを摂らせ、「健康のためなら死んでも良い!」と言わしめる、と。

 

進行役の関野吉晴さんも人間も動物の一部である、パネリストの新里達也さんも自然は生命の生息地であるので自然を大切にしたいというのはもともとの本能なのだ、と。

 

春日大社から帰ってこられたばかりの養老先生は、春日大社の在り方に自然の中で生きづいていた昔のひとの自然観を見られました。春日大社の建物は山の傾斜に合わせて作ってあり、山や樹木を大事にしている造りとなっている、それが普通のこととしてそこにあり、奈良時代の古から営々と続いている。自然をひとに合わせるのではなく、ひとが自然に寄り添う。春日大社という存在そのものが体現している自然との生き方。

 

パネリストの新里達也さんが関われた明治神宮の環境調査。100年前に作られた人工林。100年の間に周囲の都市化が進む中、手付かずで残された明治神宮の森は自然の森へと成長を遂げました。都市化した大都市東京から住処を求めて集まってきた生命を受け容れてきた明治神宮。50年前の調査と比べると土壌生物の数は1/10に減少したのだそうです。この50年で東京はヒートアイランド現象により降雨が少なくなり、土中に染み込む水量が圧倒的に減少したこと、つまり乾燥が原因しているのだろう、ということです。一方、シダ、苔、キノコの数が倍増したそうで、これはカエルなど動き回る動物によって種子を拡散させる植物が減り、胞子によって増える植物が増えたことだろう、という。

また、ひところ見られなくなったカワセミが明治神宮で確認されると都内全域でカワセミの姿が見られるようになったそう。

これには、玉川上水など都内に流れ込む水系の環境浄化の影響が大きいだろう、と地球永住計画で実施されている玉川上水の観察会からも実感されている様子です。

 


 

海と山と里、多様な生物を育む生息地。この3つは全て川によって連環されている。養老先生は将来の自然環境保全の在り方として教育の現場で始動している取り組みをご紹介されました。京都大学の学際融合教育研究推進センターで始まっている、「森里海連環学教育ユニット」などが、環境省により今後小学校の教育現場に導入されていくことになっているのだそうです。

進行役の関野吉晴さんは、
都市緑化の重要性、これは個々の人たちが自分自身で住んでいる環境に自然が必要かどうかそれぞれ自分で考えて欲しい、と宿題を贈ってくださいました。
早速、会場で会うことができた友人たちと小平駅前の喫茶店(珈琲の香さん)で宿題を手に講座の振り返り会を開催。
満月の日限定の珈琲とお菓子を前に語らっていましたらシンポジストの方々が揃って来店されて,
私たちの振り返り会がさらに活気付きました。

Dare to be wild 〜映画『フラワーショウ!』〜ひとと自然の営みと

  • 2016.07.16 Saturday
  • 09:56

フラワーショウ!

〜We always knew man is nature. Nature, Man. One and the same. 〜

 

フラワーショウ!』原題『Dare to be wild』(監督Vivienne De Courcy、2015年製作、クロックワークス配信)はアイルランドのランドスケープ&ガーデンデザイナーのMary Reynolds(メアリー・レイノルズ)さんの実話に基づいて描かれた映画。

 

メアリー・レイノルズさんが、世界的に権威ある英国王立園芸協会主催のチェルシー・フラワーショウに初出展、最年少、そして野草を取り入れたガーデンデザインで2002年に金賞を受賞するまでの物語。

 

自然と調和したケルト文化が豊かに残るアイルランドの田舎で育ったメアリーは、都会の華やかな庭園デザインの世界の中に、ケルト文化の自然観を取り入れたデザインを吹き込みます。

駆け出しの庭園デザイナーのメアリーは、アシスタントを務めていた庭園デザイン事務所を突然クビとなったことで、単独チェルシー・フラワーショウへの出展を決意、金賞受賞を目指します。

 

アイルランドの手付かずの自然をそのまま庭園にデザインする。

そこを訪れるひとたちが自然本来の素朴な美しさを感じ、みる人のこころのなかに自然をつくりたい、メアリーの想いを実現するには、アイルランドの野草とサンザシの古木と石そしてそれら素材を扱う達人の助けが必要でした。

アイルランドの自然を用いた庭園づくりをしている職人達のいるFutureForestsにサポートを依頼。頭領と職人さんからの賛同は得たメアリーですが、キーパーソンである野草の専門知識をもつ植物学者のChristy Collard(クリスティ・コラード)の賛同だけ得られません。

砂漠化の進むエチオピアでの植林活動を優先してアイルランドを発ってしまったクリスティを追い、メアリーもエチオピアに。

これより先はどうぞ、映画本編にてお楽しみください。

 

クリスティが今でも取り組んでいるエチオピアの植林事業は、日本の非営利活動法人・フー太郎の森基金の支援によってなされています。映画のなかで名前が出てくる "Kaori"は、フー太郎の森基金理事長の新妻香織さんのこと。
国土の40%が森林に覆われていたエチオピアから森を奪ったのは、人口増加による農地転用や建材用の伐採、そして内戦。
1998年に相馬市で誕生したフー太郎の森基金は、11年で35万本の木をエチオピアのラリベラに植林しているそうです。
フー太郎の森基金は、また種を蒔き苗を育てて森を育てることの意味を地域の人たちにしっかりと伝えているそうです。

 

映画のなかで、メアリーは植林地の森を地域の人たちが集う場にすることを提案します。

 

日本の風土も、大自然との関わりのなかでコミュニティとひとが育まれてきました。

 

ひととコミュニティと自然。

 

『Dare to be wild』〜思い切って手付かずの自然に

小麦の匠とひと手間の妙

  • 2016.07.07 Thursday
  • 09:40

ロデ・ヴ・フリュイ

久方ぶりに再会した従兄弟が、札幌で円麦(マルムギ)さんというパン屋さんをしていて、前日に焼き上がったパンを札幌から手持ちしてくれました。

 

十勝産をはじめとした厳選の有機栽培の素材を上手につかったパン。

 

頂いたのは、パン・ド・ミ(食パン)とイチジクの入ったロデ・ヴ・フリュイ(フルーツの入ったパン)。

 

パン・ド・ミ、うっかり写真をとりそびれてしまいました。

香ばしくて小麦の味と香りがしっかりする皮と、仄かなバターの香りと仄かな塩味のあるしっとりとした中身。

あまり食べたことがない食感で、興味津々だったのでいとこに質問してみましたら、皮と中身それぞれの味を工夫して素材を選んで使っているとのこと。しかも、おどろきの十勝男爵が!

 

「パンドミは十勝のゆめちからとクラストをサクりとさせたいので、きたほなみと言ういずれも有機小麦を使ってます、加えて15%特別栽培の十勝産男爵を加えてしっとり感を出しています。ジャガイモのデンプンはパンの劣化を遅くしてモッチリとした日本人が好む食感になるので。」

 

そして写真の、ロデ・ヴ・フリュイ。

爽やかな酸味のイチジク、レモンかなにかで炊いたのかな?と質問してみましたら、想像以上の一手間が!

 

「中身は有機のヘーゼルナッツ、有機のクルミ、有機クランベリー、有機イチジク、有機ワイルドアプリコットを自然派ワインで煮込んで入れています。レモンでは煮込んでいないけど、ワイルドアプリコットが爽やかな酸味なのでアクセントで使ってます。小麦粉は十勝産の有機キタノカオリタイプ65をメインに使ってます。」

 

小麦の匠と一手間の妙!

 

パンの世界も奥深いですね!

この味に至るまでに数えきれない試行錯誤、研究を積まれてきたことがわかる、匠の味を感じました。

よい素材を厳選されているのもあると思います。

そして、素材を活かす職人さんってすごい。

 

円麦(マルムギ)さん、お店は、札幌は円山公園駅近く。

 

蔵を改築したかわいいお店。行ってみたいなぁ。

円麦(マルムギ)札幌市中央区南3条西26丁目2-24
営業時間. open 7:00 商品が無くなり次第終了. 定休日. 月曜日・火曜

温和堂 7月末に福岡に移転のお知らせ。

  • 2016.06.05 Sunday
  • 17:56
温和堂はりきゅう院 看板おしらせ

本日、6/5は、二十四節気の芒種(ぼうしゅ)。
芒=のぎのある穀物やイネ科などの穂の出る穀物の種を播くのに適した時候を知らせる暦。
秋に向けての収穫を祈り種を播く、そんな新月の今日、温和堂よりみなさまにお知らせを申し上げます。

平成24年8月のオープンより東京・板橋にてご縁を築かせて頂いて参りました温和堂はりきゅう院。
本年平成28年 7月末に福岡県へ拠点を移すことと相成りました。
5年弱の短い期間ではございましたが、ご縁を頂きました皆様そして皆さまのおからだから多くの大切なことを学ばせていただきました。

福岡での拠点が定まりましたらまた、こちらにてご報告申し上げます。
しばらくの間、毎月第二週後半から第三週前半にかけて東京に参ります。ご連絡頂けましたら個別に対応申し上げます。 

新天地では、暮らし方、からだと自然との付き合い方にさらに密着した形での活動をしてまいります。

温和堂はりきゅう院 主人 野間 希代巳 拝   平成二十八年六月五日 芒種 新月

  • 2016.03.11 Friday
  • 12:43
 こでまりこの数日立て続けでご縁をいただいた方の旅立ちの報せが届きました。

もうお会いすることができないことを知り、心に言い知れぬ空洞ができたとき、
その方々の印象が私のなかでお花の名前となってふっと浮かびました。

彼女たちの生きていたお姿がそれぞれお花となって、私のなかの空洞に香りと色を添えてくれました。

お会いできたこと、素敵な生き方に触れることができたことを心から感謝します。 そしていま、肉体の苦しみから解かれた魂が自由に花開いていらっしゃることをお祈りします。

そして、今日は3月11日。東日本大震災のあの日から5年の月日が過ぎました。
大切な方々の魂に手向けるお花。遺された方々の心にも色と香りが灯りますように。

合掌

たびのたび:古民家再生編 別所温泉その弐 

  • 2015.10.26 Monday
  • 17:18
梁別所温泉滞在二日目の朝は、大湯薬師堂歌碑公園でのんびりと秋の気配を堪能した後、公園脇の古民家再生現場を訪ねました。

蚕室だった二階部分の天井には、筆書き文字が目をひく梁(はり)が架かっています。
 
梁の文字に大正拾参(13)年建之とあることから、少なくとも築90年は経とうという古民家。
大工棟梁と施主のお名前が堂々と伸びやかな筆致で記された立派な木材の梁のあり様は、この家がほぼ1世紀を経ていまも確りと建っている証のようです。これからもこちらの民家の屋根と柱をしっかりと支えてくれることでしょう。
2階
再生作業に取り組んでいる高原さんは今年1年間大学を休学して、作業に専念していらっしゃいます。
今年4月に作業を開始して最近になってようやく形がみえてきたのだそう。
改修後、元蚕室の二階部分はコミュニティライブラリのようなオープンスペースとして、階下はシェアハウスとして使えるようにされたいのだとか。
2階 障子空き家のまま1年が経ち、家の中にとり残されていた数多のモノの整理や掃除にとりかかるべく、まずはご自身が寝起きするスペース
古民家
として離れの小屋を改築されたそうです。そこから母屋の畳や障子、床板、天井板など古くて手入れの必要なものは解体し、そして同時進行で建物全体と細部の構造を計測し、設計、施工。
建築学部の大学院生がプロジェクトパートナーとして参加されていて、設計や構造の計算などを専門的にされているそうです。ほかの民家の例にもれずこの建物にも建増し部分があり難解なところもあるそうですが、最優先で斜交いなどの補修工事も施して安全の確保には細心の注意を払われているようです。


 
1階掘りごたつ跡
1階にある掘りごたつを生かした循環型の暖房として、かつ燻煙で梁や屋根が養生されるように、1階と2階の間の一部を吹き抜けとなるような設計をしていらっしゃるそう。


昭和2年4月報知新聞右画像は、1階の天井に貼られていた、昭和2年4月の新聞。興味深い記事。
床下収納庫階下は蔵になっていて、年代物の大きな甕や味噌樽などが多数収納されている。
掘りごたつ各部屋
冬季の別所温泉は、氷点下になることもあるそう。各部屋に炉が切られているのが印象的。






瓦屋根の葺き替えや、柱の補強などなど本格的なプロ作業は瓦職人さんや大工さんに仕事を依頼し、現場で一緒に作業をするという高原さん。「もうすごい勉強になります。」

断熱材や木材など解体後の資材も可能なかぎり有効に再利用していきたい、とおっしゃっているのがとても頼もしく聞こえました。

古民家再生をデザインや施工作業的な側面だけでみるのではなく、改修後コミュニティでその建物がどう生かされていくか、ということも視野にいれてプロジェクトを捉えている高原さんのお話を伺い、若い世代の方々が温故知新とその先をしっかり見据えておられる姿にものすごい感動を覚えました。

すてきな地域の「場」となりますように!!

たびのたび:別所温泉・その壱

  • 2015.10.24 Saturday
  • 22:43
きのこづくしランチ長野の別所温泉へお友達に会いに行ってまいりました。
秋の土用を前にして、着々と色づく紅葉を眺めながら秋の陽光を背にデッキでいただく、お友達の秋づくし手料理。
最高の贅沢はここに。
ごちそうさまでございました!!
 
古民家 天井の梁
移り住んで一年と少しとは思えないほどすっかり馴染んで、おうちの庭を開墾してお野菜を自然栽培で育てたり、別所のとても面白いお仲間とともに豊かな暮らしを満喫されているお友達。
彼女のご縁で再生中の古民家の様子も拝見させていただきました。人のご縁が暮らしをつくるんだなぁ、と実感した二日間でした。たねの交換会もできました!!ありがとうございました!!

今年開通の北陸新幹線「はくたか555」号で、一路上田へ。
上田からレトロな別所線で、刈り取り後の田の黄色と紅葉の色とのコントラストをたのしむうちに終点、別所温泉到着。2時間半ほどの旅路。

Bessyo Espresso
旅装を解いてまずは「Bessyo Espresso」さんでエスプレッソを一服。
あるじさんのおじいさまが営まれていたお土産屋さんを改装したカフェにはほっこり温かい空気が満ちています。
備長炭での手煎りからの手挽きのエスプレッソ。
立ち上る焙煎の香りと、あるじさんとお馴染みさんとのおしゃべりも味のうち。
この日はたまたま、都内のコーヒー焙煎屋さん「ぐりこーひー」さんも遊びに来られていて、コーヒーのプロ同士ならではの濃ゆ〜く興味深いコーヒー談義を伺うことができました。

茶房Paniお昼ご飯は山間の「茶房Pani」さんへ。
Paniさんランチプレート
 
やわらかな稜線の女神山を望む景色のなかに点在する紅や黄色の木々の葉や、庭を抜けるひんやりと爽やかな秋の風を愛でながらゆっくりとお食事を堪能しました。
栗の木モンブラン

大きな栗の木の下にあるテラス席。落果のいがに当たらないように頭の上には覆いがかけてあります。恵みをもたらしてくれるその木の下で味わうモンブラン。
栗きんとんのような香ばしい和栗の風味が特徴のこのモンブラン、ちょっとほかでは味わえません。パニさんではこのほかに年間をとおして地元で採れる旬の素材をつかったスイーツを時期限定で出されています。

安楽寺 八角三重塔
お腹がくちくなったあとは、別所温泉の街を散策しながら観光案内してもらいました。
常楽寺 茅葺き屋根のお堂今年は七年に一度のご開帳年の長野の善光寺。その方角を向き建っている北向観音は、善光寺と対でお参りするとよいのだとか。
愛染桂の紅葉が見事な北向観音、国宝の八角三重塔の安楽寺、茅葺屋根の本堂が可愛らしい常楽寺。徒歩でまわれる別所温泉の歴史ある名刹を散策し、友人宅へ戻る道すがら一際異彩を放つ一軒のお店に。

 
九谷焼あたま
年代物の陶火鉢や柱時計などが所狭しとひしめき合うこのお店は古道具屋さん。お店の主人は意外に若いイケメンさんでした。こちらで温和堂の目が釘付けになったのは、陶製の頭。
九谷焼頭左
経穴(ツボ)人形かと思い近づいてみると、残念。脳の領野に相当するように”秘密”や”生命”、”食欲”などの抽象的な文字が記されています。店主さんによるとこの頭モデルは明治期に作られた九谷焼のものなのだそう。心理学なのか学術的にどういうものかはいまひとつわからなかったのですが、明治期に入ってきた西洋医学を積極的に学ぼうと(怪しげな内容に見受けますが)していた当時の苦労がしのばれるもの、ということで。
がっかりする温和堂に店主が差し出したのは、陶製の温熱器。
「セリエ博士 ストレス應用」と印字されています。まさか古道具屋さんでストレス学説に出会うとは思いませんでした。
温熱器温熱器onハンス・セリエ博士が1936年に発表したストレス学説を応用している、ということなのでしょう。
セリエ博士が来日したのが昭和31年、電熱線が使われている点、手元スイッチの様式などから類推するに、昭和40年代のものではないかと見受けます。
この温熱器、みると特許商品なんですが、きちんとハンス・セリエ博士のお名前を使う許可とってるのかなぁ、と気になりました。ストレスという概念を医療の世界にもたらしたセリエ博士の偉大なる発見は、血の滲むような地道な研究に基づいているのです。(と聞いています。)
セリエ博士に敬意を表し買い求めました。今日早速臨床で使ってみました。温度は低めですが陶製で当たりは柔らかいので良しとします。火気と煙厳禁の環境での温熱施術のときは活躍してくれそうです。
 
さて、とっぷりと日も暮れ、お次はおたのしみの温泉です。
飲用温泉別所は信州最古の温泉地なのだそうで、景行天皇の時代までさかのぼるのだとか。
(詳しくは 別所温泉の歴史 へ)
別所のなかには、3つの外湯(共同浴場)があり、この日は友人宅から歩いて3分ほどのところにある、大湯へ。
外湯では珍しく、露天があります。熱めのお湯でのぼせそうな頭を冷やしてくれます。大湯は地元の方々が多く利用されていて、「おやすみなさい」といって湯をあがっていかれるのが印象的でした。友人曰く、まだ明るい時間にはなんと声をかけていいか悩むのだそう。
写真は3つの外湯の外にある、飲用の温泉。

つづく

はばったい?

  • 2014.12.26 Friday
  • 20:55

温和堂:「手指のはばったさは、とれましたか?」(施術後に)

クライアントさん:「ん???は、はばったい?????どこの地方の言葉?」
鍼灸学校時代以来感覚的につかってきた表現「はばったい」。
今日初めて、意味を問われました。
実のところ、温和堂も鍼灸学校で出会う以前は使ったことがない表現でした。
耳で覚えた外国語のように、「こんな感じのときに使うんねぇ」と感覚的にとらえてつかっていました。

どんな感じのときかというと:
すっきりしない
もったりする。
強張るようでさくさくと動かない
なにかが詰まっていて動かしづらい
つまり血流の疏滞などがあり、手指など動きが悪いとき

このように理解して臨床でつかっており、いままで問題なく通じていました。
そこで冒頭のやりとりがあり、初めて字義を調べようと思い至ったというわけです。

インターネット検索してみました。該当する字義を以下に引用しました。
はばったい【幅ったい】 形容詞:
  • 幅が広い。張った感じである。(デジタル大辞泉)
  • 幅いっぱいに広がっている感じである。(三省堂 大辞林)
  • はぼったい。腫れぼったい。むくんでいる。だるい。「はばったい」から転じたものと思われる。 (茨城弁大辞典)
  • むくんでいる。「むくみ」感だけでなく、手指の「こわばり」などの表現にも使用する方がいる(「医療人のための群馬弁講座」)
群馬、茨城など関東の北部のほうでよく使われている言い回しのようだ、ということも検索していると読み取れました。
ほかの地方では、「強張っていてうごかしにくい」状態の方言があるのか、気になってきました。ご存じの方ぜひ教えてください!

からだの状態を表現するのはなかなかに難しいものですが、常日頃からだの状態を観察しているうちにからだのほうが表現豊かになってきます。

みなさま、年末お忙しいさかりですが、ぜひぜひおからだの声、お聞き漏らしなさいませぬよう!
「はばったい」ときは、まずはここちよい方向と角度にからだをゆっくりストレッチしてあげてください!

温和堂は、年末12/30まで、年始は1/5からとなります。
緊急の場合はご相談ください。

骨太人生、百歳万歳!

  • 2014.03.12 Wednesday
  • 16:56
今日3月12日、祖母が百歳の誕生日を迎えました。

百歳!100歳!

世紀の瞬間のお祝いをしてきました。

 
本人希望にて百歳のお誕生日は、祖母宅での内輪のゆったりしたお祝いでした。ふた晩前から福岡入りし、温灸したり、爪やすりしたり、耳かきをしたり、おばあちゃんへのグルーミング三昧をしながらのんびり過ごしました。
 
福岡と東京と離れて暮らしているため、あまり多くの時間を一緒に過ごしてきた訳では無いのですが、今回初めて聞いたエピソードがあります。
祖母に好きな食べ物を尋ねてみると、「かしわ」とのこと。しかも子供時代の好物はキジなどのヤマドリだったそうです。
お父さんが大牟田の山で鳥を撃ってきてくれたそうで、それを骨ごとたたいたものをよく食べていたそうです。ジビエですねー。
祖母は目下、骨折無し百年の人生の記録を更新中です。二ヶ月前に転倒したのですが、捻挫で済んだそうです。昨日は8段程の階段を介助つきですが自分の足で登りきりました!祖母の丈夫な足腰の礎は、この幼少期の食生活にあるのかもしれません。

これからも元気に記録更新して下さいね、おばあちゃん!! 
 

写真は、昨年の敬老の日に内閣総理大臣から贈られた、銀杯と賞状です。福岡県知事と福岡市長からも賞状を頂きました。


 

細胞はみんな生きている!

  • 2014.01.08 Wednesday
  • 17:58
iPhoneImage.png昨年秋から歯の治療に通っています。技術、知識、臨床姿勢全てにおいて信頼のおける歯医者さんに生まれて初めて会いました。歯科治療台で寝落ちしたのも初めてでした。年始一回目の診察の昨日は、奥歯に診断のくだる日でした。診断は、天寿を全うするまで温存しましょう、となりました。問題の奥歯は入れ歯になる瀬戸際だったのです。両親が人工物を身体に埋め込んでいたのをみていた経験から可能な限り自前のパーツを保持したまま人生を送りたいと考えています。歯を失うかもしれない事実は大きな衝撃でした。被せ物をして12年ほど放置していたその奥歯には虫歯が浸潤しており、レントゲン画像診断では歯を温存する基準以上に歯根が溶けている様子。その歯だけ入れ歯になる可能性が濃厚だが被せ物を外して状態を確認してから方針を決めましょう、というところで歳を越したのでした。被せ物を外したところ、溶けてはいたものの存外に歯根はギリギリのところで踏ん張っていたそうです。経年で入れ歯に移行する時もいずれは確実に来るだろうが現役でいけるところまで残存機能を活かしてケアとともに生活をしていきましよう、とのこと。一日経ったいま、崖っぷちにおいつめられながらもなんとか諦めずに肚を据えて根をはってくれている奥歯と、そんな満身創痍の奥歯の根性を尊重して下すった歯医者さんに感謝と敬意の気持ちが溢れています。

上のレントゲン画像は奥歯ではなく前歯のもの。実はこの前歯にも勇気を貰いました。
幼少時より歯が黒いのが悩みの一つでした。様々な歯の美白材を試してみましたが、気分がわるくなるだけで効果は皆無でした。そんなことをこちらの歯科医さんに相談したところ、幼児期に服用した抗生物質により色素沈着がおきて黒くなっているのだそうです。それを踏まえてもくだんの前歯は一本だけ抜きん出て暗い色をしているため、レントゲンで神経の状態を確認することにしました。もし神経がしんでいるようならば、表面を削り被せ物を装着することで見た目の!「黒い!」という印象を薄めることができますよ、というアドバイス。 焼きあがったレントゲン画像をみながら先生が感嘆の声をあげていらっしゃいました。「初めてみました!神経が細々と生きています!こういう状態の歯はご高齢の方でみたことがありますが、野間さんの年齢の方で目にしたことはありません。この歯が生え替わってすぐの頃に強く打った記憶はありますか?おそらく永久歯になってすぐの頃に強い衝撃をうけて、毛細血管から出血があったのでしょう。その後血液がうまく吸収されず残留し色素沈着をおこしたのかと思われます。それ位の衝撃ですと歯髄も傷ついて神経が死んでしまうことが多いのですが、野間さんの場合はなぜか生き残ったのですね。」
幼児期よりコンプレックスでしかなかった黒い前歯に生涯で初めて愛着を感じました。「生きていてくれてありがとう!きみのお陰でご飯を美味しくたべているんだね!!削って美白するよりも、きみと一緒に美味しいものを安心して食べ続けることにするよ!」

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