「からだは自然」〜養老孟司さんのお話

  • 2016.09.17 Saturday
  • 22:02

中秋の名月後の和暦葉月の満月は東京から鑑賞しました。

七月末に福岡県の宗像市へ転居してから約ひと月半ぶりの東京。
東京滞在中だけ期間限定オープンしている板橋・温和堂の治療室にて久方ぶりにみさせて頂くみなさまのお身体に、秋の気配が散見しています。秋のお彼岸を過ぎると朝晩は冷え込んできます。
夏の間発汗するために開いていた毛穴に、うっかり初秋の冷えが入り込まないための工夫を一つ。
少しでも冷やっと感じたら、「クビ」の名のつく体のパーツ(首元、手首、足首)を衣類などで覆ってみてください。

 

 

養老孟司先生
9/17は、養老孟司さんのご講演を聞きに行ってまいりました。直接伺いたいと長年望んでいた養老先生のお話。
穏やかな中に凛とした堂々たる佇まいのお姿、探究心に満ちたキラキラ輝く瞳、ゾウムシから解剖学、経済学に至る幅広く深いご見識、智の巨人でした。

 

虫の虫

この講演は、グレートジャーニーで知られる医師で探検家の関野吉晴教授(武蔵野美術大学)が主催されている地球永住計画のシリーズ講座の一つ。

養老孟司さん、明治神宮の環境調査をディレクションされた(株)環境指標生物の新里達也氏、主宰の関野吉晴さんのお三方によるシンポジウムのテーマは「都市緑地の重要性」。

とても示唆に富む内容でしたので、温和堂のメモに残っているものを備忘録として起こします。

 

シンポジウムに先立つ「虫から人間社会を考える」をテーマとした単独講演の中で、養老先生は脳化するひとについて述べられました。意識が捉えられることができる世界はわずかなもので、脳や意識で”違い”を認識することは難しい。犬や猫など絶対音感を持つ動物は解剖学的に、振動数をしっかりと捉えることができる構造を持つ。”違い”を認識するのは感覚であって意識ではない、と。

 

 

シンポジウム

「都市緑化の重要性」。このテーマ自体が、”緑があることを必要としている”という意識による概念なのでは?緑(自然)は意識や理屈のものではなく、それ以前のもので生命にとって必然のものなのだ、と養老先生。

 

脳は目の前の環境で起こっていることを実在として捉えてしまうものなので、スマホの画面だけを見ているとその世界がそのひとの実在となっていってしまう。お金というものも実際は抽象の存在でしかないのに、実在のものとして捉えられている。

最近姿を見ることが少なくなった蝿。五月蝿いと書いて、”うるさい”と訓むが、将来は”めずらしい”と訓むことになるかもしれない。虫が人間の行動により変化をさせられている現実。

都会には人工のものしか無くなり、自然を現実のものと捉えられない人が大多数となっている現在。

 

ここで一つの問いが養老先生より投げかけられました。「なぜ人は服を着るのでしょうか?」と。

養老先生曰く、からだは自然なので、自然であるからだを隠すために人は服を着るのだ、と。人間の中にある自然は都会の中で見せてはいけない、という意識がひとに服を着せ、サプリメントを摂らせ、「健康のためなら死んでも良い!」と言わしめる、と。

 

進行役の関野吉晴さんも人間も動物の一部である、パネリストの新里達也さんも自然は生命の生息地であるので自然を大切にしたいというのはもともとの本能なのだ、と。

 

春日大社から帰ってこられたばかりの養老先生は、春日大社の在り方に自然の中で生きづいていた昔のひとの自然観を見られました。春日大社の建物は山の傾斜に合わせて作ってあり、山や樹木を大事にしている造りとなっている、それが普通のこととしてそこにあり、奈良時代の古から営々と続いている。自然をひとに合わせるのではなく、ひとが自然に寄り添う。春日大社という存在そのものが体現している自然との生き方。

 

パネリストの新里達也さんが関われた明治神宮の環境調査。100年前に作られた人工林。100年の間に周囲の都市化が進む中、手付かずで残された明治神宮の森は自然の森へと成長を遂げました。都市化した大都市東京から住処を求めて集まってきた生命を受け容れてきた明治神宮。50年前の調査と比べると土壌生物の数は1/10に減少したのだそうです。この50年で東京はヒートアイランド現象により降雨が少なくなり、土中に染み込む水量が圧倒的に減少したこと、つまり乾燥が原因しているのだろう、ということです。一方、シダ、苔、キノコの数が倍増したそうで、これはカエルなど動き回る動物によって種子を拡散させる植物が減り、胞子によって増える植物が増えたことだろう、という。

また、ひところ見られなくなったカワセミが明治神宮で確認されると都内全域でカワセミの姿が見られるようになったそう。

これには、玉川上水など都内に流れ込む水系の環境浄化の影響が大きいだろう、と地球永住計画で実施されている玉川上水の観察会からも実感されている様子です。

 


 

海と山と里、多様な生物を育む生息地。この3つは全て川によって連環されている。養老先生は将来の自然環境保全の在り方として教育の現場で始動している取り組みをご紹介されました。京都大学の学際融合教育研究推進センターで始まっている、「森里海連環学教育ユニット」などが、環境省により今後小学校の教育現場に導入されていくことになっているのだそうです。

進行役の関野吉晴さんは、
都市緑化の重要性、これは個々の人たちが自分自身で住んでいる環境に自然が必要かどうかそれぞれ自分で考えて欲しい、と宿題を贈ってくださいました。
早速、会場で会うことができた友人たちと小平駅前の喫茶店(珈琲の香さん)で宿題を手に講座の振り返り会を開催。
満月の日限定の珈琲とお菓子を前に語らっていましたらシンポジストの方々が揃って来店されて,
私たちの振り返り会がさらに活気付きました。
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