傷の治りに鍼灸を
- 2018.06.14 Thursday
- 00:40
週に一度、脳血管障害後遺症のケアで出張鍼灸施術に伺っているY様。
なぜかこの日はお体の触診をしている時から上肢の小指側が氣になっていました。
お体の反応を見ながら、麻痺側の上肢の動き改善の鍼灸施術を行っていましたら、
Y様より、そういえば5日ほど前に転倒しそうになり体を支えようとして麻痺側である左側の肘を壁ですりむいてしまったとのこと。2、3日してからズキズキと痛みが出てきたとのこと。
拝見すると擦りむいた皮膚の周囲が少し熱を帯びて腫れていました。
まずは擦過傷周囲の腫れのある箇所に台座灸。
そのあと、写真のように擦過傷を囲むように刺鍼。
しばらく置鍼し抜鍼したら、自覚的に痛みが軽くなり、他覚的には腫れと赤みが引いていました。
ご自身で自宅施灸を傷の周囲に継続してくださり、2日後にすっかり痛みは消滅しました、と患部の画像を送ってきてくださいました。
以前、研修を受けていた病院で、床ずれのため皮膚に大きな穴があき内部が見えている方への鍼施術のお手伝いをさせていただいたことがありました。1週間ほど毎日刺鍼を継続しただけで傷が目に見えてふさがっていきました。
この技法は、囲刺という傷跡の治癒を助ける方法です。
手術痕への施灸で、引き攣れ感が寛解した症例もあります。
外傷や古傷の違和感に鍼灸を併用することで、治癒が促進されて楽になってきます。
経絡の概念は入っていない対症療法的な施術です。
鍼による物理的な侵害刺激と灸による温熱刺激により、血流を促し傷の修復作業をする白血球の成分を患部に集約させる、という治効機序に基づくものです。