土用しじみは腹ぐすり

  • 2013.07.20 Saturday
  • 15:06
「土用しじみは腹ぐすり」江戸時代の頃から広く伝わる季節の養生のことば。
昨日7/19は土用の入り。土用から立秋までの間の季節の挨拶は、「暑中お見舞い」。じりじりと照りつく日中の太陽、蒸し熱い熱帯夜、と猛暑のなか消耗した体力や、胃腸のつかれを癒してくれるのは、夏の蜆。
産卵を前にしたこの時期の蜆は、小ぶりながらみっちりと必須アミノ酸などの滋養を濃厚に含んでいます。
江戸時代・文政2年(1819年)に刊行された「日養食かがみ」にもしじみの項目があります。
「甘鹹冷。毒なし。湿熱を下し黄疸を治し、小便を通し、消渇を止め、酒毒を解屯。また小児の寝汗を治屯。(味は甘くしおからい。冷やす性質をもち、無毒。体内にこもる湿熱を排出し、黄疸を治し、尿通をよくし、喉の渇きを癒し、酒を解毒。また小児の寝汗も治す。)」

湿熱とはまさにこの時期の、日本の夏の状態です。湿気、気温ともに高く、体内に熱がこもりやすく、水分代謝が上手にできなくなる。そう、その重だるさです。実感のある方、是非しじみ汁を。
寛文九年(1671年)に名古屋玄医によってまとめられた「(閲甫)食物本草」には、「脾弱者不可多食。(消化器系機能が低下しているときには、多量に食べないこと)」と注意書きがあります。

しじみは、日本各地の貝塚から出土されている日本の風土に大変馴染のある食材。半夏生のタコ同様、旬のものを上手にとりいれる、身土不二の養生の知恵は日本には豊かに残されています。


さて、土用というと土用の丑。土用の丑といえば鰻と思われる方も多いことでしょう。夏バテの体力回復のため滋養のつくものを食そう、ということで古くは万葉の奈良時代に大伴家持にも歌われていたようですが、実は広く鰻が食べられるようになったのは、江戸時代文化文政の頃のこと。
いまではよく知られる話ですが、夏の土用の丑の鰻は平賀源内の上手なプロモーションだったそうです。エレキテルの発明で有名な平賀源内、多彩な才能の持ち主で現代のプロデューサーのような仕事もこなしていたようです。暑い最中、脂っぽい鰻はあまり好まれず、ぐっと落ち込む客足に悩む鰻屋の主人が源内に泣きついたところ、源内に妙案が浮かびます。主人に土用の丑と書いた紙を店先に貼り出させました。それをみた好奇心旺盛な江戸っ子たちは我先にと暖簾をくぐるようになった、といういわれがあります。
うなぎの旬は、産卵期を迎える秋から冬にかけて。実をいうと夏の土用はあまりうなぎの美味しい時期ではないのです。さて先出の「日養食かがみ」ではうなぎについてどのように書かれているでしょうか。
「甘温。毒なし。腰を暖め陽を起こし食を進め肉を長し、元気を壮んにす。又痔疾悪瘡及小児の疳疾を治す。味噌汁に煮て食へば小児の雀目を治す。▲西瓜、ぼけ、梅す、諸々の酢 (味は甘く、からだを温める。無毒。腰を暖め体内の陽気を立ち上げ、食欲不振を解消し、からだを肥やし、元気盛んにする。また痔やおでき、子供の疳の虫を治す。味噌汁にして食すと小児のとり目を治す。▲以下は食べ合わせのよくない食材)」

陽気のつよい食材のため、食べるときの状態によっては、逆上せ(のぼせ)ることもあります。普段から逆上せやすい人や、暑さがあまりに厳しく頭に火照りを感じるような場合には無理に食べないほうがよいでしょう。

さいごに。。
うなぎ供養西巣鴨の妙行寺にあるうなぎの供養塔です。
うなぎはじつは、絶滅危惧種に指定されてもおかしくないほどにその生態系が危ぶまれている種なのです。
うなぎの生誕地は、グアム付近の太平洋のど真ん中、マリアナ海溝。近年の温暖化により生誕地付近の海洋環境に大きな変化がおきたこと、それに加えて、食生活のグローバル化による魚類の乱獲。

この項のセイロ蒸しは、温和堂が先日、福岡の柳川で食したものです。実は個体数をすこしでも温存したく、この2年弱ほどうなぎ断ちをしていました。久方振りのうなぎ、柳川でたべたのにもかかわらず、残念なことにかなり味が落ちていました。
うなぎは、日本の人々を長いあいだ滋養し続けてきてくれた有難い宝物です。なんとか次世代についでいくためにも、種の絶滅だけは避けたいですね。

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