赤紫蘇で盛夏をお出迎え 〜梅しごと・弐〜

  • 2015.07.19 Sunday
  • 00:25
甕入り梅
梅しごと第二幕、紫蘇しごと。
先月の新月時分に塩漬けし梅酢が上がってきた梅に、塩をした赤紫蘇を混ぜ込みました。土用干しを控えた梅に、赤紫蘇の色と香りが染み込んでいきます。

平安時代初期にはすでに薬として重用されていた梅干しに、赤紫蘇を入れてつくるようになったのは江戸時代に入ってから。梅しごと・壱のコラムでご紹介しましたように、目出度い赤色が好まれたことと、薬効の高い紫蘇を長く保存するための紫蘇そのものの保存としての方法として赤紫蘇入り梅干しは定着して 白梅と赤梅 いったそうです。
今回自作してみたことで、赤梅干しは科学なのだ、と実感しました。
先人たちの観察眼と智慧の深さに改めて頭がさがる思いです。
赤紫の青色がかった赤紫蘇の色は、梅酢に反応して鮮やかな赤色に変化します。
これは赤紫蘇のアントシアニン系の赤い色素であるシソニンが、梅酢に含まれる梅のクエン酸に反応して起きる反応です。シソニンは、酸性に触れると赤くなり、アルカリ性に触れると青くなる性質をもつ物質。

この化学反応を利用して、作られるようになった飲料があります。
材料:赤紫蘇、クエン酸(またはお酢)、甘味。
黒い紫蘇葉煮出し汁紫蘇ジュースです。

紫蘇ジュース黒みがかった紫色の赤紫蘇の煮出し汁にお酢やリンゴ酢、レモン汁、クエン酸などを入れると、パッと鮮やかな赤色に変色します。
温和堂では、少々の梅酢とレモン汁、千鳥酢で発色し、少量の蜂蜜とメープルシロップで甘みをつけたジュースを作りました。
施術後のお飲み物として、夏の暑さを無事に乗り切る飲料としてお楽しみ頂きます。

紫蘇はインドの東部や、ヒマラヤ地方を原産とする一年草の植物。
日本での植生の歴史も長く、縄文時代の遺跡から出土しているそうです。
 
「紫蘇は七つの顔をもつ」という言葉があります。
解熱、健胃、袪痰、鎮咳、食欲増進、防腐作用、鎮痛、熱中症症状、悪心嘔吐、香りは鎮静作用(自律神経の調整)など多くの薬効をもつ薬草として古来重用されてきました。

宜禁本書 二巻 紫蘇
元禄年間(1700年代)刊の曲直瀬道三編『宜禁本草』の紫蘇の項には、以下のような主治が記されています。

「辛く温なり。鯖寿司と一緒に食べると腸の中にできものが出来て激しい腹痛を起こす。
紫蘇の実は、むせかえるような咳、湿気や風による腰下肢の関節痛を主治とする。
紫蘇葉は、のぼせを抑え、冷えをとり、心窩部や腹部の膨満感を治し、激しい嘔吐や激しい痙攣といった熱中症症状を抑え、胃のむかつきやつかえ感をスッキリとさせる。
また、紫蘇の実は嘔吐やげっぷが出るような胃の状態を調え、胃を健やかにし、腹腔内のしこりを消し去り、大便小便の出を良くする。咳を止め、心肺を潤し、痰を取り、胸のつかえや消化不良、煩悶感、喉のつまり感を調え、下肢の関節痛、蟹などの魚介類の中毒を治す。」
 
【温性】【辛味】【帰経:肺と脾(胃)】
【主治:発表散寒、行気寛中、解魚蟹毒、健胃解毒、芳香行散、行気安胎
(温めて寒さからくる発熱を体表から出す、胸からお腹にかけての詰まりを寛める、魚介類中毒を解毒、胃を健やかにし解毒、香りにより気鬱を散じる、妊婦さんの気鬱を調え安産につなげる)】
 
紫蘇の名の由来は、名医・華佗が用いたことによるという言い伝えがあります。
ときは三国時代(A.D.180年〜220年頃)後漢の中国は洛陽でのこと。
蟹の過食により食中毒を起こし、からだを紫色にして苦しむ少年がおりました。名医華佗がこの少年に処方したのは紫蘇の葉の煎じ薬。
かくして紫蘇葉によって瀕死の少年は蘇生しましたとさ。紫色の葉が蘇りを起こしたから紫蘇という説のほか、紫色のからだから蘇る→紫蘇、という説もあります。
 
日本でも民間療法で、魚介類の食中毒による蕁麻疹には大量の紫蘇葉を食せよ、と伝えられているのだそうです。
そういえば薬味としてお造りには必ず紫蘇が添えられていますね。

紫蘇プランター
前述のように漢方では、紫蘇の芳香は理気剤として用いられます。紫蘇の香りにより気鬱がほぐれ、凝り固まったからだや思考が動き出すようになります。行き詰まったときには、紫蘇葉を軽くもんで香りをだしたり、1、2枚お湯にいれ紫蘇茶としてもよいかもしれません。漢方薬局で出される蘇葉は、赤紫蘇を乾燥させてもの。ゆかりご飯を食してもよいでしょう。ゆかりにお湯をいれれば紫蘇茶となりますね。(できれば添加物、人工調味料などが入っていないものを探してみてください。その方が香り、作用ともより高いものとなります。)
 
紫蘇は、比較的簡単に栽培できますので、風通しのよい、半日陰か日陰の場所でプランター栽培されると夏の間は、毎日新鮮な香り高い紫蘇葉をいただくことができます。数枚摘むと翌日には新葉が出はじめます。

いにしえの昔より、熱中症対策など夏の妙薬として愛用されてきた紫蘇、活用して盛夏を楽しく迎えましょう!
 
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