石臼の艾(もぐさ)づくり・森のくすり塾

  • 2015.10.28 Wednesday
  • 23:23
森のくすり塾
別所温泉に移り住んだ友人のご縁で、『僕は日本でたったひとりのチベット医になった』の著者でチベット医・薬剤師の小川康さんの薬房、森のくすり塾を訪問させていただきました。
はとむぎ
ハトムギの実を穂から外す手脱穀作業をしながらいろいろなお話を伺いました。
大豊作のハトムギは小川さんがご自身の畑で自然栽培されたもの。薬房の前には大量のハトムギが日干しされていました。ハトムギ日干し訪問した前の晩も夜なべで一粒づつ手で実を外す作業をしていて、この作業をなんとかもっとよい方法でできないか、と途方に暮れてしまったのだそう。
友人の自家焙煎淹れたてコーヒーを手元において3人でおしゃべりをしながら、”茶飲みしごと”をしていると意外と作業ははかどったたようでした。
ひとりだと途方に暮れますが、ひとが集まると人手のこもったしごととなるものですね!手仕事ゆえ穂にのこった取りこぼしの実はありますが(すみません。。。)、それらも鳥や虫などの腹を満たし、自然に還ることでしょう。
このように栽培されたハトムギの脱穀作業をすること、そのこと自体もチベット医学にとっては、医療の一環である。臨床することだけではなく、生活のなかにこそ医学がある、というようなことを小川さんはおっしゃっていました。
 
東北大学薬学部をご卒業後、小学校での理科の教育や薬草の研究、栽培に携わられてから、渡印しダラムサラにあるチベット医学の大学にあたるメンツィカン(チベット医学暦法学研究所)でチベット医学を学ばれ(外国人としては小川さんが初めて合格)、断崖絶壁での薬草採取やチベット医学の古医書『四部医典』八万語の暗誦などの数々の難関の卒業試験を経て、外国人として初めてアムチ(チベット医)の認定を受けられた小川さん。
現在は「森のくすり塾」で、薬草の栽培や採取を通して自然のなかの医の普及を実践されていらっしゃいます。
2014年のTEDxSakuでのトークの録画で大変興味深いお話が聞けます。
 
石板薬研はとむぎ作業がひと段落したところで、小川さんは鍼灸師垂涎の道具を見せてくださいました。
石の洗濯板のようなこの道具は、お灸につかう艾(もぐさ)をつくるためのもの。
石臼、と呼ぶのか石薬研とよぶのか、独特の形状です。
手作りのこの石板は作製者の方から薬草を手作りする小川さんに、と縁づいてきたそうです。
 
小川さんは、艾の原料である蓬(よもぎ)などの山野の薬草を積むツアーもされています。この道具はツアーの一環で艾をつくるなどで使っていらっしゃるのだそうです。

 
よもぎの葉裏の繊維
艾(もぐさ)は、草餅の原料ともなるよもぎから作られます。
キク科ヨモギ属は北半球に広く分布する植物で中国大陸、朝鮮半島、日本列島で艾という治療用具として永く利用されています。道端でよくみかける草餅用のよもぎも艾として使われる品種です。みつけたらちょっと葉をめくってみてください。裏側に白いふわふわとした毛があります。この白い繊維だけを集めたものがお灸のもぐさとなります。
精製具合によって用途が異なります。繊維だけの状態にまで精製させたもぐさは、温度の低い艾柱(がいしゅ)になるため肌に直接据える小さな半米粒大の透熱灸に適し、より高い温度の艾を必要とする灸頭針(針の上に艾玉をつけて輻射熱で暖める)や温感がでたら取り去る知熱灸、または棒状にかためた棒灸には、粗い精製度で高い温度となる粗もぐさが適しています。

艾←今回つくった艾。
2、3度ふるいをかけて細かい葉の粉や茎、葉の滓などをとり除いたもの。
精製度やや粗めの知熱灸に適した艾
透熱灸用艾       
透熱灸用の精製度の高い艾→


 
温和堂が鍼灸学校に入学直後の5月のこと。自分たちで艾をつくるという課題が出されました。グループごとに自分たちで製法を調べ、よもぎの新葉を採取し、道具を駆使して、自力で艾をつくり発表するというもの。
製法を図書館で調べてみると、1)乾燥 2)繊維と葉の成分を分離する 3)精製するの3工程が必要なことがわかりました。古来の製法では、自然乾燥させ、石臼で挽き、唐箕で夾雑物をふるい分ける、とありました。
私たちのグループでは、水気をドライヤーなどで乾燥させ、石臼のかわりにすり鉢を使い、調理器具のふるいを使ったように記憶しています。乾燥が十分でなかったことで葉や茎など夾雑物が多く残る艾ができあがったことはハッキリと覚えています。
 
森のくすり塾でのもぐさ作りは、小川さんが春に採取された完全に乾燥されたもぐさを使っての作業でしたので10年前の学生時代の初もぐさ作りと比べて遥かに快適でした。
もぐさつくり
石板の上に乾燥させたよもぎ葉を置き、握りやすいように加工された石をゴロゴロと転がす。それだけなのですが、あれよあれよという間に繊維が分離されてきます。石の素材と重み、板の上に手彫りでひかれた多数のすじ。この3要素がこの道具の肝なのだと思われます。
時間をかけて挽けば、精製度が上がってくるかと思います。
 
右の画像で小川さんが手の合谷というツボにおいているのは大きな艾柱の知熱灸。熱く感じたら外します。小川さんはこの夏、もぐさを焚いて蚊や蜂の襲来を防いでいらっしゃったそうです。
 
別所に春がきたころに、この石板薬研をつかったもぐさ作りのワークショップをさせていただきたいな、と考えています。参加希望の方はいまからでもよいのでヨモギをみかけたら、採取して乾燥させておいてください!
 
採薬師の小川さんによると、艾に最適のよもぎの品種は上越のほうでよく採れるのだそうです。
用途別のよもぎを産地に訪ねる採取旅もしてみたいものです。
「鍼灸師さんもみんな、自分でもぐさ作ればいいのにね」と小川さん。
はい。いつかは看板に「もぐさ挽きたて」と掲げたいとおもいます。

(補足:低温施灸の透熱灸用もぐさは3年以上寝かせたものがマイルドな温感となります。
挽きたてもぐさは、直接肌に透熱させないタイプの高温施灸の知熱灸や棒灸により適しています。)
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